写真 ページ28
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メリット…？
そんなこと、一度だって考えたことなかった。
「わたしはさ、せっかく付き合ってるんなら、お互いに高め合える関係がいいって思ってて。」
「…うん。」
「ほら、玲於くんはさ、お仕事頑張ってるじゃない。龍友くんからたまに聞くけど、深夜とか朝までお仕事してるときもあるらしいし…」
「…そうっすね。」
「それだけで多分、彼女さん側にはすごくメリットあるんだよね。玲於くんが彼氏ってだけで。」
…そうなのか？
「けど、彼女さんは玲於くんがお仕事頑張ってる最中に浮気しちゃうし、別れたいなんて言っちゃうの…あまりにも酷くない？」
「……。」
「酷いな、確かに。その通りやわ。」
「だよね？…せっかく玲於くん頑張ってるのに、なんか勿体ないよ。その人と付き合ってて、プラスになることある？むしろマイナスじゃない…？」
真っ直ぐな視線。
自分の考え、ちゃんとぶつけてくれて、自分の意志を持ってて、ハッキリしてる。
正論だよ、多分。
第三者から見た俺らって、絶対別れた方がいい関係なんだ。
わかってる。
けど
つん、て
香水の匂いが鼻をついた。
…Aと全然違うな。
あいつはもっと丸っこい。角が無い。
存在してるだけでいい。
「…そうっすよね、ホント。別れよっかな。」
「うん！いいと思う。多分もっと良い人いるよ。」
「……だよね。」
いるわけないだろ。
この世に、A以上に俺の型に合うヤツが。
別れた方がいいことなんて、知ってる。
あいつが俺のこと好きじゃないのなんて知ってる。
でも命綱なんだよ。仕方ないだろ。
メリットとか、プラスになるとかならないとか
そんなのどうでもいい。関係ない。
俺はAがいなきゃ頑張れないし
好かれてなくても、顔見てたいし、そばにいたい。
それだけだよ。
4年前に出会ったあの日から、ずっと特別。
2年前に別れたいって言われたあの日から、切れた命綱をずっと、両端引っ張って繋ぎ止めてる。
いまさらこの手を離すことなんてできるわけない。
そのあと、恋愛話に盛り上がった空気に適当に話を合わせながら
テーブルの下でひとり携帯触ってた。
写真のフォルダから、Aの顔見つけて
ぼおっと見つめる。
これは洗濯中の後ろ姿。
これは必死にゲームしてる横顔。
全部可愛いよ。
大好きだよ。
溜まったストレスを吐き出すように、飲み続けた。
数時間後。
ふらふらとタクシーに乗り込み
無意識に告げたのは、自分のじゃなく、Aの住所だった。
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mugi(プロフ) - 自分に重なることが多すぎて、感情移入どころではなかったです。素敵な作品いつも有難うございます。 (2019年11月18日 10時) (
レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさんの作品大好きです！ (2019年11月3日 18時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
_myprince8(プロフ) - きなこさんの作品全て好きです。完結まで結びますように！っ (2019年11月3日 10時) (レス) id: bca9b2866b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 私最近の玲於くんの大人っぷりに寂しいって感じてしまい玲於くん見るの少し離れてたんです。だからきなこさんの思ってること同じで嬉しくなりました。今はちょこちょこ玲於くんを応援してるつもりです。笑1日の終わりに読むきなこさんの作品いつも楽しみです！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: f500b029ae (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - きなこさんの作品の中で一番好きです。人間味があって執着する玲於ちゃんや空回りながらも同じ思いの主人公ちゃん、すれ違いがもどかしいけど読み応えがあって本当に好きです。完結まで頑張ってください！ (2019年11月2日 9時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年10月10日 22時
