ただいま、初恋6【佐野玲於】

寂しいな ページ5

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次の日
肌寒いその日は、白濱先輩が2限からだから、ひとりで学校に行ってた

ぼおっと歩きながら空を見上げて
夏の青い空を懐かしく思う
…夏、戻りたいな
もう一度、みんなで旅行に行きたい
行けなかった海にも行きたい
スイカ割りとか、してみたい
そんなこと考えながら
カーディガンの袖をちょっとだけ伸ばして
指先を温めていた


学校について教室入って
窓際の席に座って待ってたけど
マユちゃん、なかなか来ない
ついにチャイムが鳴ってしまって、不思議に思って携帯見たら


マユ [ ごめんー寝坊したー！ ]


寝坊かあ
珍しいな、マユちゃん真面目なのに


A [ 遅れてくる？ ]

マユ [ いや、今日休むとおもう。雄介の家なんだよね(°_°) ]

A [ そうなの！ ]

マユ [ ほんとにごめん！ ]


まあそっかあ
どうせ今日、3限までだもん
いまから準備して来るのもめんどくさいか

わかったよーって返信して
頬杖ついて、窓の外を見た
…マユちゃんいないの、やっぱり寂しいな


2限も同じように受けて
もうお昼
先輩たちと食べるの、すごい気まずい
だって昨日はマユちゃんがいたからなんとかなってたようなもので
わたし、考えてること全部顔に出るって言われるタイプだし
もうやってけないよ

ひとりで食べようかな、とか思ったりしたけど
白濱先輩とは一緒にいなきゃいけない気がして
勇気出して、カフェに向かった

ふたりの背中見つけて思わず足がすくむ
でも、ちらって振り向いた佐野先輩と 目が合ってしまって


A「…おはようございます。」

玲於「おはよ。」

亜嵐「あれ、マユミは？」

A「マユちゃん、雄介くんの家で…あ、寝坊しちゃったみたいで。」

亜嵐「あーそうなんだ。笑」

玲於「仲良しでいいね。」


…なんか、これでいいのかなあ
わかんなくなるよ
佐野先輩の顔なるべく見ないようにしながら、お弁当食べた
今まで通りみたいにみんなで話して
でも昼休みが終わる頃には、ちゃんと笑えてたりして

人間って不思議
絶対もう会えないとか
絶対もう会いたくないとか
そんなふうに思っても、結局こうして元に戻ってたりする

元に戻ってるフリだったとしても
それを受け入れてる

それでひとりになったとき、ため息ついたりする



玲於「チビ、次教室どこ？」


こんな感じで、完全に戻ってしまった距離
白濱先輩も笑ってるし、もしかしてこれでいいのかな
…これが、大人？

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