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やっぱり ページ22

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5限の始まりを知らせるチャイム
聞き慣れたその音が、学校中に響いた
それが終わったあと、意を決して、口を開く


A「…クリスマスプレゼント。」

玲於「え?」

A「……白濱先輩にあげる、クリスマスプレゼント。…何がいいかなって。」


まっすぐ先輩の目を見ながら言ったら
先輩は、同じようにじいってわたしを見つめて
そして暫く経ったあと
ふいって目を逸らして、答えた


玲於「なんでもいいんじゃない?なんでも喜ぶよ、お前が選んだものなら。」


…やっぱり
そうだね
やっぱり、先輩はわたしのことなんて 何とも思ってない

わたしが先輩への気持ちを捨てたって
先輩との約束を破ったって
何にも関係ない
もう、ほんとに
わたしたちは


A「…そうかな?」

玲於「そうだよ。」

A「…マフラー?」

玲於「いいじゃん。」

A「マユちゃんは、財布はどう?って。」

玲於「んー、それもいいけど、財布は一年記念日とかの方がよくない?」

A「…あー、たしかに。」

玲於「…ね。」


一年記念日って言葉に
少しだけ、胸がざわついた
…1年後も、わたしは…


玲於「…まあ、寒いし、うん。マフラーいいんじゃない?あ、もしや手作り?」

A「…そんな器用なことできないよ。」

玲於「ふは、だよね。」

A「何色にしようかな。」

玲於「んー…」

A「……白濱先輩、カッコいいから、なんでも似合うよね。」

玲於「…うん。」

A「……うん。」

玲於「…もういい?」

A「…うん、…ありがとう…」


言ったら、じゃあ俺帰るわって立ち上がってる
うんって言うと
ほんとに乗ってかない?って聞かれて
もう一度、うんって答える
そっかって呟いた先輩は
暫く、立ち尽くして


A「……先輩?」


呟いたわたしをちらって見たあと
もう一度、はぁーってため息つきながら、隣の椅子に座った
びっくりして固まってたら
先輩、テーブルに肘ついて、頭抱えて


玲於「…あーもう、なんだよ、…お前、ほんとに亜嵐くんのこと好きになっちゃったのかよ…」


そんな言葉
何も、返事ができなかった

騒がしいこのカフェで、たぶんわたしだけ、ひとり


A「……先輩…」

玲於「……。」

A「……。」

玲於「……ごめん、先に帰って。」


そう言われて、戸惑いながらも、立ち上がった
最後カフェを出るとき
一回だけ振り向いたら、まだ頭を抱えたままの先輩が、小さく見えた


.

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宇宙(プロフ) - きなこさんの作品全て素敵で何回も読み直しています!きなこさんのペースでお話の更新、待ってますね!!暇なときにでも近々今のきなこさんの気持ちや雑談などだけでも更新してくれたら嬉しいです(*´-`)! (2018年10月4日 22時) (レス) id: 4ccc9e8f19 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - きなこさんの書く隆二くんは私の大好きな隆二くんです(*´ω`*)きなこさんの書く隆二くん、臣、亜嵐くん、それから佐野先輩と夢主ちゃんが大好きです。 (2018年10月2日 0時) (レス) id: 49103f1761 (このIDを非表示/違反報告)
きょーか(プロフ) - 亜嵐くんメインのお話も読んで見たいです (2018年8月29日 2時) (レス) id: 9ffd19f65a (このIDを非表示/違反報告)
はちみつちゃん。 - ひとつしかお話がない、隆二くんのお話もまたみたいなあって思ってます (( 小声 )) 毎回毎回 長文でコメントしてしまってほんとにごめんなさい(><)、、 (2018年8月16日 15時) (レス) id: ab56cd607c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつちゃん。 - れおくんのお話を書くのはきなこさんじゃなきゃやだってぐらい きなこさんの書くれおくんが好きです、(笑)多分他のメンバーもみんなです(笑) ただの登場人物って感じじゃなくて、その人そのものをみてる感じがして、本物感ってゆうんですかね?(笑) ん〜好きです、笑 (2018年8月16日 15時) (レス) id: ab56cd607c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2018年7月27日 22時

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