優しい手 ページ28
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A「…先輩、なんで…」
玲於『…ごめん、20時までって言われたから、…でも、今日客多くて、こんな時間なっちゃった。』
時計を見上げたら
23時20分を指していた
今日が終わるまで、あと40分
A「……先輩、いまどこ？」
玲於『…駅だけど。』
A「あと40分あるから、間に合うから、」
玲於『いや…今から行っても、母ちゃん寝てるでしょ。』
A「インターホン鳴ったら起きるよ、お誕生日のお祝いは、当日じゃなきゃ、」
玲於『いやけど、』
もう、いい
絶対にわたしが連れて行く
必死すぎて、頭がぐらぐらしてるけど
そんなのどうでもいいって思えるくらい、先輩のことでいっぱい
ハンガーにかけてたガウン羽織って
通話切って、家を飛び出した
こんな夜道を全速力で走ったのは
先輩が泣きながら電話をかけて来た、あの日以来
あの日も、今日も
わたしは先輩のためだけに生きている
正直、なんでこんなに一生懸命になっているのか分からないよ
誕生日のお祝いくらい、明日言えばいい
わかってるけど
でもなんか、自分の心の奥の方で、今日じゃなきゃダメだって 確信があって
わかんないけど、今日じゃなきゃダメ
わかんないけど、今日ならうまくいく
だから、意地でも先輩を連れていく
それだけ
A「…先輩！」
駅の階段の上
目まん丸くした先輩が 携帯片手に立ってた
息切れしながら駆け寄って、必死に息を整える
玲於「ちょ、お前なんで…」
A「…行かなきゃ、」
玲於「でも、」
A「でもじゃないよ、言ったじゃん、行くって、」
玲於「……。」
A「……先輩が頑張れば、絶対お母さんも嬉しいから、いまじゃないとダメだから…もし先輩がまた悲しくなったとしても、今度はわたしがいるから、」
玲於「…A…」
A「……だから、行こう。」
先輩の優しい手
いつも握られてばかりだったけど
きょうは、わたしが握った
不安そうな顔をした先輩は、その手を見つめながら ゆっくりと口を開いて
玲於「…Aも、ついてきてくれる？」
古びた電灯が、先輩を照らしてる
頷いたわたしに微笑んだその姿は、いままでで一番、胸を苦しくさせた
玲於「この時間、本数少なくて、こっからだったらタクシーで行った方が早いんだよ。」
A「え、けどこの辺、タクシー少ない…」
玲於「タクシー見つかるまで、走っていい？」
いいよ、もう、なんでもいいよ
先輩のためなら、わたし なんだってしてみせるから
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maki(プロフ) - 今まで何お話、読み返したら、やっぱり佐野先輩とうまくいってほしい。。(;_;)先輩！！何してんのーー！！！ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: 9583ac788f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - ほんとに今一番大好きな小説です。全然話長くしていただいてかまいません！笑更新これからも楽しみにしていますので大変だと思いますが頑張ってくださいね！ (2018年7月5日 23時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - きなこさんは更新率が高いことだけが取り柄だなんて、全然まったくそんなことないですよ(^^)きなこさんのお話を読むだけで元気になれます。いつもお話を読めること本当に嬉しいです。これからも応援しています。きなこさんの思ったまま書いてください！ (2018年7月5日 23時) (レス) id: 49103f1761 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - さいくぅー (2018年7月5日 22時) (レス) id: 527ff0df55 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - もうきなこさんの伏線が楽しみすぎます!!楽しみにしてます!! (2018年7月5日 22時) (レス) id: c6b1080ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2018年6月16日 21時
