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亜嵐「あ、帰ってきた。」

A「すみません、長くなっちゃって。」


あのあと
あさって帰ったらすぐに連絡してってお願いして
わかったよって返事に安心して
ほんとに行く?って聞いたら、うんって返ってきて
なんて言えばいい?って聞かれたから
誕生日おめでとうだけでじゅうぶんって答えた


亜嵐「…大丈夫?眉毛、下がってるよ。」

A「…大丈夫。」


正直なところ、わたしひとりじゃ抱えきれないくらい大きな問題
白濱先輩に相談したい
だけど、佐野先輩、わたし以外に話すつもりないって言ってくれたから
それ すごく嬉しかったから


A「…佐野先輩、暇だったみたいで。」

亜嵐「そっか。笑」

A「あ、えと、丸つけ全部終わりましたっけ。」

亜嵐「うん、ちょっと早いけど帰ろっか。」


はいって答えて立ち上がる
教室の鍵閉めて、おばちゃんちのポストに入れた
街灯に照らされた道を歩きながら、考えるのは 佐野先輩のこと

…お節介って 思われてるだろうなあ
めんどくせーって独り言いってるかも
だけど、先輩がわたしにお母さんのことを教えてくれたのは
この現状を変えたいって、そう思ってるからなんじゃないかな
もちろんひとりで抱え込むのが辛かった気持ちも大きいと思うけど
少なからずきっと、このままはいやだって思ってるはずなんだよ

…それにわたしも、このままはいや
先輩の虚ろな目の理由がわかったのに、放っとくなんてできないよ
ちゃんと心から、笑ってほしいよ

って、わたし、佐野先輩のことばっかり
隣にいるひとのことなんて 考えずに


亜嵐「…ねえ、Aちゃん。」

A「…え?」

亜嵐「…何があったか知んないけど…せめてさ、俺とふたりでいるときくらい、玲於のこと考えんの やめてよ。」

A「……。」

亜嵐「……ごめん、こんなこと言っちゃって。」

A「……わたしこそ…」


ごめんなさい、って 言えなかった
言ってしまったら、白濱先輩の気持ちすら 拒否しちゃう気がして

怖くて、先輩の顔見れない
だって初めてなんだよ
今までずっと、白濱先輩は優しくて 笑ってて
わたしが何をしてもきっと許してくれるひとだった

…どうしよう
考えることいっぱいで、頭パンクしそう
佐野先輩がわたしの思考の大部分を占めてて
でも、このままだったら傷つく人がいる
それでもいいって思えるほど、わたしはまだ大人じゃない


泣きそうな気持ちで 歩いた
こんな弱いわたしが、本当に佐野先輩を守れるのかな


あのとき→←それだけ



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maki(プロフ) - 今まで何お話、読み返したら、やっぱり佐野先輩とうまくいってほしい。。(;_;)先輩!!何してんのーー!!! (2018年8月5日 7時) (レス) id: 9583ac788f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - ほんとに今一番大好きな小説です。全然話長くしていただいてかまいません!笑更新これからも楽しみにしていますので大変だと思いますが頑張ってくださいね! (2018年7月5日 23時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - きなこさんは更新率が高いことだけが取り柄だなんて、全然まったくそんなことないですよ(^^)きなこさんのお話を読むだけで元気になれます。いつもお話を読めること本当に嬉しいです。これからも応援しています。きなこさんの思ったまま書いてください! (2018年7月5日 23時) (レス) id: 49103f1761 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - さいくぅー (2018年7月5日 22時) (レス) id: 527ff0df55 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - もうきなこさんの伏線が楽しみすぎます!!楽しみにしてます!! (2018年7月5日 22時) (レス) id: c6b1080ab1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2018年6月16日 21時

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