ただいま、初恋4【佐野玲於】

じゃれあい ページ1

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8月の2週目
平日の夜中


A「あー、楽しかった！」

マユ「夢の国サイコー！」

亜嵐「イェーイサイコー！」

玲於「ひゅーひゅー。」


駅に向かって歩きながら、上機嫌な私たち
それもそのはず、だっていま、夢の国から帰ってきたところなの！
マユちゃんとお揃いのカチューシャつけて
首から、きらきら光るストラップ下げて
ママにも遅くなるって言って許可もらってるから、本当に自由に楽しめた
それに…


玲於「A、こっち。」


言いながら、前を歩いてたわたしのこと呼び止めて
自分のとなりに移動させる先輩
今日は本当に、機嫌がいい
嬉しすぎてにやにやしちゃうけど
なんとか押し殺して、もーなんで？とか言ってみる
アトラクション乗るときだって、ほとんど隣同士だったんだよ
今日1日で、今までよりずっと距離近くなったかも
嬉しい！


玲於「ねーいつまでカチューシャつけてんの、ほら変な目で見られてるよ。」

A「だって、かわいいから。」

玲於「え？それって自分が？」

A「違う、カチューシャが！」

玲於「カチューシャつけてる自分がかわいいってことね、はいはい。」

A「もお、いじわる言わないで。」

玲於「事実じゃん。ぶりっ子しやがって。」

A「ぶりっ子じゃないもん。」

玲於「そういうのぶりっ子って言うんだよ、わかる？Aちゃん。」

マユ「あーもうまた喧嘩してる〜」

玲於「いや喧嘩じゃないし。」

亜嵐「痴話喧嘩？」

玲於「違うって、じゃれあい。」


…じゃれあい、なんだ
ふふって思わず笑っちゃう
じゃれあいかあ

街の明かりもだんだんと消えてきてる
こんな中みんなで歩けるなんて、なんか大人になった気がして嬉しかった



でも


玲於「え？嘘でしょ。」

マユ「…やばいやらかした。」


駅を目前にして、携帯片手に絶望
終電無くなっちゃった！


A「…おうち帰れない？」

マユ「…いやー…タクる？」

亜嵐「それしかなくね。笑」


無駄な出費だーって笑いながら
白濱先輩、大通り眺めてタクシー探し始めた
そんなとき


玲於「てかさ、」


佐野先輩の声に、振り向く
先輩、何か指差してて その先には


玲於「始発まで待つって手は？」


眩しいくらいに光ってる
カラオケの文字
始発まで待つ？てことは、えっと、よく聞く カラオケオール？


マユ「あ！いい！」

亜嵐「俺もいいけどAちゃんが…行ける？」


どうしよう
すごく行きたい！


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