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元気ない ページ46




次の日
お家の鍵につけたキーホルダーを眺めながら
1限と2限、受けて
マユちゃんにもたっぷり自慢して
そして、お昼
佐野先輩にも見せたくて、会うの楽しみにしてた
…でも


亜嵐「…玲於やっぱ体調悪い?」

玲於「…べつに。」

マユ「…佐野先輩、何かありました?」

玲於「…なんもない。」


お昼ご飯、食べずに
ずっとテーブルに突っ伏してる
拗ねた子どもみたいに、不機嫌そうな声で
たまに携帯触ったり
キャップ被りなおしたり

ちらっと見えた先輩の目
また、遠かった
全部諦めてるみたいな目、こわい
わたし、何も聞けない


結局そのまま休み時間は終わってしまい
先輩たちと別れ、3限の教室へ向かうことに


マユ「佐野先輩、変だったね。」

A「…うん。どうしたんだろ、昨日の帰りまでは元気だったのに。」

マユ「うーん、バイト先で怒られたとか?先輩って結構すぐ機嫌悪くなるタイプじゃん。」

A「そうだけど…なんか、わかんない?あの目、たまにするの。」

マユ「目?」

A「…遠くを見てるの。ぼーっとしてて、光がなくて、くすんでてね、」

マユ「ごめん、それは分かんないや。」


…そっか。わたしの考えすぎかなあ
今日帰ったらラインしてみようって
そんなこと考えながら、授業を受けた


3限が終わった後
白濱先輩と待ち合わせてバイトへ向かう
佐野先輩何かあったんですかって聞いたけど
ごめんね俺何も知らなくてさ、って

20時半にバイトを終えて先輩と別れ
ぼーっと、家までの道をひとり歩く
…好きなひとが元気ないのって
自分が元気ないより、ずっとつらい
今まで知らなかった
早く元気になってほしいな

って、そう、思った時


〜♪


ポケットの中で鳴り出した携帯
見たら
着信 佐野玲於

え、なに、嘘でしょ?電話なんてしたことないよ
アワアワしちゃったけど、このままじゃ切れちゃう気がして、立ち止まり、慌てて通話に切り替える
震える手で耳に当てると


玲於『…A?』


わたしの名前を呼ぶ、掠れた声
胸が、キュって締め付けられた


A「…はい。」

玲於『…今日バイトだったんでしょ。』

A「…はい。」

玲於『…俺、今車でさ。…家まで送ってやろっか。』

A「え、」


く、車で?わたしを、家まで?


玲於『…あ、もしかしてもう家?だったら」

A「い、いや、あの、まだ駅で!」

玲於『…ふふ、じゃあ待ってて。すぐ行く。』


そんな言葉で切れた電話
走って駅まで戻った


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ゆづき(プロフ) - きなこさん、初めまして!だいぶ時間が経っていて、もうコメントを見ることはないかもしれませんが、、とてもキュンキュンして、人間の小さい心の動きをうまく言葉に起こしている部分に特に感動しました!♡2章も楽しんで読ませていただきます! (6月7日 22時) (レス) @page50 id: bfb37b3d55 (このIDを非表示/違反報告)
kaoris10(プロフ) - お気に入り登録してます!毎度ウルウルです!塩な彼氏と〜のパスワード教えて頂きたいです! (2020年2月14日 23時) (レス) id: 9b17de759e (このIDを非表示/違反報告)
涼香(プロフ) - とても面白いです!(T^T)更新待っています! (2019年2月16日 2時) (レス) id: 3b0746b685 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - また一話から読み返しています。もう何回目?って言うくらい読み返しているのに、また切なくて泣いてしまいます。この物語のチカラに驚いております。 (2019年1月23日 1時) (レス) id: eef139c402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 久々のきなこさんのお話し、今回も楽しく読ませていただいております!今後の展開もとても気になるところです。きなこさんのお話を読んでると純粋に人を好きになって恋をしたくなります、、それくらい素敵なお話しをありがとうございます! (2018年5月7日 21時) (レス) id: 97c32faec9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2018年4月21日 21時

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