放課後 ページ33
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その日の放課後
バイトが無いっていうマユちゃんと、ふたりでご飯食べに行った
美味しいパスタ屋さん
大好きなナポリタン
食後のケーキを前に、ふたりでお喋り
マユ「なんかさー、佐野先輩も意味わかんないって思わない?」
A「え?」
マユ「だってさ、彼女いるくせに やたらAのこと構うじゃん。特別扱いっていうの?」
A「そ、そんなんじゃないよ、たぶん。」
マユ「いや、それがね。わたし一個佐野先輩と同じ授業とっててさ。」
A「え、そうなの?」
マユ「うん。まああれ席決まってるから 話せる距離じゃないんだけどさ。」
A「ふうん。」
マユ「それ、佐野先輩の周りみんな女の子でね、」
朝会ったあのひとを思い出す
ああいう可愛いひとばっかりなのかな
ちょっとイヤかも、ワガママだけど
マユ「佐野先輩ってやっぱ、顔はカッコいいじゃん。だからなんか、周りの子たちすごい話しかけてて。」
A「ええ、」
マユ「なに話してんのかなってコッソリ聞き耳立ててたんだけど、佐野先輩、もう…」
A「…な、なに…?」
マユ「…うん、そうっすね、たぶん。…これしか返事しないの!なに?あの態度。笑っちゃうくらい塩対応だよ。」
ぶっきらぼうなあの顔が簡単に想像できて
思わず笑っちゃう
A「けど、わたしにも最初そんな感じだったよ。」
マユ「にしてもさあ…」
A「人見知りなんだよ、わたしもそうだから、すごく気持ちわかる。」
マユ「人見知り同士打ち解けたってワケ?」
A「わかんない。打ち解けてるのかな。おチビちゃんってバカにされるよ。」
マユ「もー何言ってんの。そういうの、佐野先輩絶対他の子に言わないよ?たぶん、サヤさんにも。」
え、って、ちょっと浮かれたのも束の間
わかるよ
わたし、そんなに世間知らずじゃないもん
A「だからきっと、わたしが恋愛対象じゃないからだと思う。…悲しいけど。」
マユ「…そうかなあ。」
A「…だって、佐野先輩の周り、綺麗なひとばっかりだもん。ていうか、サヤさんが彼女な時点で…」
マユ「…はあ、よりによってなんでサヤさんかなあ。」
A「…佐野先輩に釣り合うのなんて、サヤさんくらいだよ。」
ケーキ、ひとくち食べてみる
いちごの甘酸っぱい香りが口の中に広がって
なんか、泣きそうだった
…泣きそう、で
ふと思い出す
電車の中の、あの虚ろなくすんだ目
どうしたんですか、って、あの時聞くべきだったかな
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ゆづき(プロフ) - きなこさん、初めまして!だいぶ時間が経っていて、もうコメントを見ることはないかもしれませんが、、とてもキュンキュンして、人間の小さい心の動きをうまく言葉に起こしている部分に特に感動しました!♡2章も楽しんで読ませていただきます! (6月7日 22時) (レス) @page50 id: bfb37b3d55 (このIDを非表示/違反報告)
kaoris10(プロフ) - お気に入り登録してます!毎度ウルウルです!塩な彼氏と〜のパスワード教えて頂きたいです! (2020年2月14日 23時) (レス) id: 9b17de759e (このIDを非表示/違反報告)
涼香(プロフ) - とても面白いです!(T^T)更新待っています! (2019年2月16日 2時) (レス) id: 3b0746b685 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - また一話から読み返しています。もう何回目?って言うくらい読み返しているのに、また切なくて泣いてしまいます。この物語のチカラに驚いております。 (2019年1月23日 1時) (レス) id: eef139c402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 久々のきなこさんのお話し、今回も楽しく読ませていただいております!今後の展開もとても気になるところです。きなこさんのお話を読んでると純粋に人を好きになって恋をしたくなります、、それくらい素敵なお話しをありがとうございます! (2018年5月7日 21時) (レス) id: 97c32faec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作成日時:2018年4月21日 21時