2分の1ガールフレンド3【佐野玲於】

そっか ページ21

玲於side





亜嵐「あ！！玲於来た！」



スタジオに入ると
にやにやしながら駆け寄ってきた亜嵐くん

ちょっとだけ、嫌な予感




玲於「なんすか。」


亜嵐「俺さっきさー、タクシーでここまで来たんだけど、」


玲於「うん。」


亜嵐「見ちゃったんだよね〜。」


玲於「え？」


亜嵐「Aちゃんのデート現場！！」




それ、聞いた途端
思わず背筋が伸びて
なんでか、心臓バクバク言い出す

亜嵐くんの嫌味なまでの笑顔が
頭に焼きついた




玲於「…へえ。」


亜嵐「可愛くない？土曜日のお昼にデートって。笑」


玲於「まあ、まだガキだしね。」


亜嵐「ガキって。笑 でもあれ、なんだっけ、杉野くん？やっぱすっげーイケメンだったわ、身長差も良い感じだったし。」


玲於「…Aが低いからね。」


亜嵐「うんうん、しかもボブめっちゃ可愛かった！まあ遠目からしか見てないけど。笑」


玲於「…ボブ？」


亜嵐「え？Aちゃん、髪切ってんじゃん。」




…そうなんだ




亜嵐「え、なに？隼ん家出てったって聞いたからもうマンション戻ったのかと思ってたけど、違うの？」


玲於「…んー、まあ、色々あんだよ。」


隼「玲於、女の子の家に入り浸るようになっちゃって！」



せっかく適当にはぐらかしたのに
横からとんでもない爆弾放り投げてきた隼

…バカ、言うなよ



亜嵐「女の子の家！？」


玲於「いやほんと誤解しないでほしいけど、全っ然そんな関係じゃないからね。」


隼「歳上！！歳上の落ち着いた女性！！」


玲於「あーもうお前は黙っとけよ。」




一気に騒ぎ始めたメンバーにため息つきながら
さっきの亜嵐くんの話を思い出す



…土曜の昼間からデート、ね

なんか
今まで、ちゃんとふたりのエピソード聞いたことなかったし
だからまあ、想像で全部終わらせてたけど

うん、やっぱ付き合ってんだな
そっか
そっか





このとき

とんでもない片思いをしてしまった俺が
とんでもない勘違いをしているなんてこと

とんでもない片思いは
実は、ずっと前から両思いだってこと


一縷の望みでも
あわよくばでも

頭の片隅に、思い浮かんでいたら
いまの俺たちは 何か違ったかな



きっと、前世で何か悪さでもしたんだろう

別々の場所で同じくらい想い合っている俺たちなのに
1ミリだって、重ならない



神さまも教えてくれない
夢にだって出てこない





…声が聞きたいなんて、死んでも言えない



．

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