恋愛アレルギー2【佐野玲於】

行かないで ページ9

Aside






A「いてて…」


先生「だいぶ腫れてるね〜、この調子じゃ当分は歩くの辛いかな。」


A「ええ、」


先生「早く治したいんだったら、お友だちに歩くの手伝って貰いなよ？」


A「…はい。」


先生「あれ、付き添いで来てくれてた子どこいったかな。」






保健室

先生の前に座って、処置をしてもらう。




はあ

保健室にお世話になるのなんて、いつぶりかな




やだな

恥ずかしいな




なんて、ひとつため息をついた






そのとき









_________ガラッ









玲於「Aちゃんっ、」







勢いよくドアを開けて入って来たの

本当に久しぶりに見る、佐野くんだった。




すごい息切れしてるし

顔も真剣だし



そんな姿に思わず背筋が伸びる





…なんでここに…








先生「あれ、彼氏くん来てくれた？たかが捻挫なのに、優しいね。笑」


玲於「……え、捻挫？」


先生「ん？捻挫だよ。あー、先生今から会議なんだよね、彼氏くん、あとはお願いしていいかな。今日はもう帰らせてあげて。」


玲於「あ、はい…」





お大事に、って言い残し

閉められたドア




二人きりになった保健室で

心臓ばくばく、止まらなくて




なにから話そう

どんな顔しよう


そんなこと、悩んでいるわたしだったけど






玲於「…捻挫って…ただの捻挫？」


A「…うん、あの、ボールで滑ってこけちゃって…」


玲於「…そっか…」





佐野くん、小さい声で

イッチーに騙された、って そう言った。



どういう意味だろ、なんて 考えていると

はあ って大きくため息をつきながら







玲於「……痛い？」







優しくそう聞きながら

しゃがみ込んで、そっとわたしの足首に触れた佐野くん



もちろんテーピングはしてあるけど

ちゃんと 指の感覚が伝わってきて





…ああ、ダメ

心臓破裂する







A「あ、あの、大丈夫だよ…ほんとに…」


玲於「…そ？」


A「…うん、」


玲於「…じゃあ、うん、授業戻るわ。」






そう言って立ち上がる

大好きなこのシルエット



ドアに向かって ゆっくり遠ざかっていく







いや


行かないで




…わたし、言いたいことがあるんだよ








A「さの、くん、」


玲於「…え？」







逃げてられない


ちゃんと伝えたいの







佐野くんが教えてくれた恋愛


できるようになったよって






…わたしの正解は、佐野くんだったんだよって




．

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