恋愛アレルギー2【佐野玲於】

2回目 ページ30

Aside






みんなでご飯を食べて

なんでもないこと、お喋りして


ふと時計を見ると、もう22時になってた。




佐野くんが、早く帰んなきゃ、って焦ってわたしの手を引いて

半ば強制的に帰らされる羽目に。






A「もお、今日くらい門限破ってもいいのに。」


玲於「ダメだって。」


A「…ダメじゃない。」


玲於「ダメ。」





いいコになるって決めたばっかりだけど

さすがに過保護すぎだよ



今までずっと、ママとパパの強すぎる愛情を受けて育ってきたけど

これからは、佐野くんもそれに加わるのか




うーん…嬉しいような、面倒くさいような…





わたしの最寄駅について、その時点で 門限まで残り15分






A「間に合うよ、10分あれば着くから。」


玲於「ほんと？」


A「うん。」


玲於「…お前ん家行くの、意外と初めて。」


A「そうかな？」


玲於「そうじゃん。」






夜なのに、それなりに人通りが多くて

だから 手を繋ぐのは我慢だけど




でもいいの


こうして隣を歩けるだけで、幸せ





他愛ない話をしながら歩いて

ちょっとだけ小道に入ったところにある、わたしの家



ここだけは、人通りが少ないの






A「…はい、ここです。」


玲於「ここ？…めっちゃかわいい、家。」


A「ママの趣味。」


玲於「ママセンスいいね。」






家を見上げてる佐野くんの横顔




昨日の朝からずっと一緒にいて


手も繋いだし


キスまでくれて





…バイバイするの、寂しいな






玲於「…なにその顔。」


A「…なんでもない。」


玲於「…なんでもない顔には見えねえけど。」





そう言いながら

意地悪く笑って、わたしの頬っぺた摘んでくる



抵抗する元気もなくて、されるがまま。






A「…いひゃいよ、」


玲於「いひゃい？笑」


A「…もお、」






やめて、って

言おうと思った わたしの唇を







玲於「……また明日ね。」







そんな言葉と

人生で2回目のキスが 優しく塞いだ。






A「…さ、のくん…」


玲於「…おやすみ。」


A「あっ、ちょっと、」






送ってくれてありがとう

って、伝える隙も与えないくらい、走って戻ってく




照れ隠しかな、なんて

ちょっとだけ笑いながら、その後ろ姿を眺めてた。






…これから先、いろんな思い出が増えて


その度にわたしはきっと

佐野くんを好きになってよかったって、思い知るんだ。




．

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