恋愛アレルギー2【佐野玲於】

幸せになって ページ2

Aside







剛典「でさあ、俺に全部奢らせようとすんだよ？」


A「すごいね、先輩なのに。」


剛典「でしょ？もちろん断った。笑」


A「断ったの？笑」





近くにある公園

そのベンチに座って、剛典くんと他愛ない会話をしていた。




でも、よくわかんないの

なんか、なんていうか、普段の剛典くんじゃない気がして






剛典「…いやー、ほんといい天気。」


A「…うん。」


剛典「…けど、雲がないって…なんか怖くない？」


A「…怖い？」


剛典「……綺麗すぎて…自分の、さ…自分の汚いとこが、目立つっていうか…」


A「…剛典くん、どうしたの？」






やっぱり違うよ

いつもの剛典くんじゃない



空を見上げてるこの綺麗な顔が

どこか悲しげで、虚ろで


今にも消えてしまいそうだった。





雲がない空よりも

今の剛典くんの方が、わたしにとっては怖い。






剛典「…A、俺ね、」


A「…うん。」


剛典「…ある人にさ、言われたんだ。」


A「…え？」


剛典「…Aが大事で大切で、だから幸せになって欲しいって。」







…わたしのことが、大事で、大切で…


…ある人って、それって








剛典「……玲於って、すげーいい奴だね。」








優しくそう言った剛典くん





…ああやっばり、佐野くんだ




最近ずっと会ってないし

姿も見かけないし



正直、ほんとにもうこれきりかもって思ってたけど





…なんでかな


佐野くんの名前を聞くだけで、涙が出そうになるの





胸のとこが、苦しくて

でも心地よくて



どうしても 会いたくなって…





…わたし、わかるよ


これが 佐野くんが教えてくれた、恋愛だよね？







A「…剛典くん、わたし…」


剛典「…うん。」





立って、って

剛典くんがそう言って


不思議に思いながらも従うと




そっとわたしの身体に手を伸ばして

そのまま







A「…たかのり、くん…」


剛典「……ごめん、これで終わりにするから。」







そっと

本当にそっと



わたしのことを抱きしめる




悲しいほどに、強く

ぎゅって、手を回して…






剛典「……A、俺も 玲於と同じ気持ち。」


A「…え？」


剛典「……幸せになって。…Aの笑顔が、一番好きだよ。」






少し震えてる剛典くんの声




その意味に気付けないまま


雲がない空の下、この優しい腕に包まれていた。




．

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