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悲しげな顔 ページ10

隆二side






「雨止んだね、よかったー、今日傘持って来てなかったから。」





そんな会話を耳に挟んで 窓を見る。



…ほんとだ、晴れてる。



昼過ぎから降り始めた雨は ちょうどみんなが帰る時間には止んで

太陽の光がフロアにも差し込んで




これなら、非常階段も乾くかな。






ちらっと後ろを振り向くと

2ブロック先にいるミルクちゃんも窓を見上げていた。





彼女は、先週俺の特等席にいた子で

話し方が柔らかくて なんかふわふわしてたから、ちょっと気に入ってる。


口も堅いし、執拗に追いかけてこないし

でもちゃんと呼べば来てくれるし



入社2年目って言ってたから、実はもっと前から同じフロアにいたみたいなんだけど。






「今市くん、何見てるの?」





そんなことを考えていたら、隣のデスクの女の子が話しかけてくる。

同期の子で、自分で言うのもあれだけど いわゆる俺のおっかけ。





隆二「ん?…べつに?」


「えー、うそ。あの子見てたでしょ、最近お気に入りだもんね。」


隆二「そんなんじゃないって。笑」


「あの子、なんだっけ。Aちゃん?可愛いけど、ちょっと地味だよね。」





…Aちゃん、っていうんだ。


そういえば一回も名前聞いたことなかったな。





「地味子ちゃん、てやつ?笑」


隆二「…いや、地味っていうか…」





…君みたいに、化粧が濃くないだけだよ。




そんなことを思いながらミルクちゃんを見ていたら

立ち上がって、エレベーターホールに消えてしまって


非常階段、行ったんだ。





隆二「…まだ帰んないの?」


「帰る、今市くんは?」


隆二「…俺はあとちょっと残るよ。」





周りの子たちが帰ったのを見届けて

俺も非常階段に向かった。



何してんだろう、とは思うけど

暇だし、ミルクちゃんと喋るの楽しいし



6階の休憩室でミルクティーを買って

それを手に非常階段のドアを開けた。





笑顔で出迎えてくれるって


そう、思い込んでいたけど





開けたドアの向こうにいたミルクちゃんは

非常階段に座り込んで、どこか悲しげな顔をしながら 空を眺めてたんだ。




今までに見たことがない表情だったから

思わず言葉に詰まって






A「…あれ、今市さんも来たんですか?」






…この子は何を考えているんだろう


何を考えて、あんなに悲しい顔をしていたんだろう




らしくないけど

そんな疑問で頭がいっぱいだった。


素直な子→←心が広い



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はな - 今市隆二でまた話作ってください! (2020年4月14日 18時) (レス) id: f09f6f4b0a (このIDを非表示/違反報告)
miru1027(プロフ) - 今市さんメインのお話をなかなか探せなくて、でも、素敵なすごい素敵なお話しに出会えました!ありがとうございます!! (2019年6月11日 11時) (レス) id: c79621f3d3 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 本当に綺麗なお話で何回も読みにきてしまいます。 (2019年4月18日 23時) (レス) id: fed54832df (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 隆二くんのスイッチ、ずっとONならいいのになぁ、なんて(笑)名前呼びも隆二さんって呼ばせるところもすっごく幸せな気持ちになります!何度読んでも本当に本当に大好きなお話です。隆二くんの優しさが伝わってきます。キュンキュンです! (2018年2月8日 23時) (レス) id: 05e37e8b83 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - コメ嬉しいと書いてあったのもありコメしま〜す。(^O^)/だいちゃんはガンちゃんだったか‥。本物もこんな風に優しいんじゃないかなぁ〜。今市くん。プラスここぞ!で強引かもしれませんよ〜。繊細さも混みみたいな。 (2017年3月1日 12時) (レス) id: 8ee9a559fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2017年2月12日 21時

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