未完成ラバー【今市隆二】

夜遊び ページ44

Aside






隆二「え、ちょ待ってアイテムが…」


A「隆二さんコースはみ出てますよっ」


隆二「だってアイテムが」


A「十字ボタンです、十字ボタン！」





白熱する試合


今のところ、6対0でわたしの勝ちだけど。





隆二「あーまた負けた〜あはは、笑」


A「全然悔しそうじゃないからムカつく…」





隆二さんがわたしを元気付けようとして

用意してくれたもの



大好きな大好きな、ゲーム




優しすぎて、嬉しすぎて、思わず飛びついてしまった。



よしよしなんて 笑いながら頭撫でてくれたし…


やっぱり、ほら、隆二さんはすごくいい人だった。




ちょっとでも疑った自分が恥ずかしいよ。





隆二「ねえなんでこんなゲーム強いの？めっちゃ弱いかと思ってた。」


A「わたし、ゲームと漫画が趣味ですもん。」


隆二「えーめっちゃオタクじゃーん！笑」


A「だから友だち少ないんです。」


隆二「なるほどね〜」


A「なるほどねって。笑」





缶チューハイ片手に、おっきく口開けて笑ってる。


ああどうしよう、楽しい！






A「…夜遊びってコレかあ。」


隆二「Aちゃん絶対やらしいこと考えてたでしょ？」


A「だ、だって隆二さんの言い方が…」


隆二「うわ俺のせいにした。笑」


A「…慣れてないんです、こういうの。」





コントローラーをテーブルに置いて

はあ、とひとつため息をつく。



もう0時過ぎてるのに

こんなに楽しくていいのかな。



早く寝なきゃ、明日だいちゃんに朝ごはんを…




そんなことを考えていたら

返信来てるのかな、って気になり出して



バッグから携帯を取り出す。




ロック中の画面を見ると





[ 了解！ ]


[ 明日の出張は自分で出ていけるから、朝帰ってこなくていいよ ]






…そっか






隆二「…だいちゃん？」


A「…はい。明日出張だけど、朝帰ってこなくていいって。」


隆二「……出張、か。」


A「…どこに行くかは、その、わかんないんですけど…」


隆二「…そっか。」


A「……でも、平気です。月曜日には帰ってくるし、そしたら美味しいご飯を」






作ってあげるんです





って、そう言おうと思った わたしの腕を引っ張って


そのまま、ぎゅっと強く抱きしめる隆二さん






何が起きてるか分からなくて

頭の中が真っ白になる。






…どうしよう


わかんないけど、すごくドキドキする。



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