未完成ラバー【今市隆二】

いいもの ページ35

隆二side






次の日会社に行くと

珍しく、俺よりも先にAちゃんが出勤してて




就業時間前なのに デスクで真面目にパソコンと向き合ってる。




眉間にシワなんか寄せちゃって

Aちゃんが仕事してるときって、なんかすげー面白いんだよね。



めちゃくちゃ真剣なの、ほんと。



朝から癒されるな、なんて考えながら 俺もデスクについた。






…にしても昨日


あれからだいちゃんとカレー食べたのかな



遊んで帰ってきたくせに…






…はあ






〜♪





その時、ポケットの中の携帯が鳴って

取り出して見てみると






A [ 隆二さん、おはようございます ]


A [ いいものあげるので、非常階段に来てください ]





…いいもの、って


確か俺も前言った気がするな。





そんなことを思いながら後ろを振り向くと

こそこそエレベーターホールに向かってるAちゃんが見えた。




ちょっと笑いながら 俺もその後を追う。






ガチャっとドアを開けると

いつもみたいに、非常階段の下から二段目に座ってるAちゃんがいて





隆二「…おはよう。」


A「おはようございます！」






いいものってなに？って聞くと

いらなかったら返してくださいって言いながら



後ろに隠してたらしい、小ぶりのランチバッグを俺に差し出してきた。







A「…カレー、あげます。」


隆二「え、」






びっくりして中を覗くと

水色のスープジャーが入ってて






隆二「うそ！マジで！？」


A「マジです、あの、隣のジャーはご飯入ってるので、その…」


隆二「待って、めっちゃ嬉しいんだけど！」





思いもしなかった、Aちゃんからのプレゼント


このジャーはだいちゃんのなんだろうな、とかいう余計なことは今は置いといて

素直にめちゃくちゃ嬉しい！





A「よかったあ、喜んでもらえて。」


隆二「いやめっちゃ嬉しい…」


A「せっかく作ったのに、昨日だいちゃん食べてくれなかったから。」


隆二「そうなの？」


A「はい、仕事の人と食べて帰って来たって。」


隆二「そっかー…」






よしよし、じゃあ俺が大事に食べるよ






隆二「…今日さ、お昼一緒に食べよっか。」


A「え、」


隆二「だってせっかく貰ったのに…ね、どう？チアちゃんも一緒に。」





戸惑いながらも、頷いてくれたAちゃん




お昼を待ち遠しく思いながら

貰ったランチバッグを握り締めた。


．

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