未完成ラバー【今市隆二】

中毒性 ページ15

隆二side






ミルクちゃんに淹れてもらったコーヒーを手に、デスクに戻る。



相変わらず寂しそうな顔してたな

…ひとりぼっち、って感じ。




だいちゃんもさ、仕事ばっかしてないで たまには構ってあげたらいいのに。


あんな弱々しい女の子、家に独りにしちゃダメだよ。





「今市くん、今日お昼一緒にどう？」





そんなことを考えていたら

隣の席の子が、そう言って誘ってくれて。


ああいいよ、って二つ返事。





「なんか冷たくない？笑」


隆二「え？いや別に。笑」


「考え事してたでしょ、またAちゃん？」





ちょっと怒ったような顔をしながらそんなこと言ってくる。

いや、俺君の彼氏でもなんでもないのに そんな顔しないでよ。






隆二「…いやー、彼氏とうまくいってない子ってさ、どうやって励ましたらいいか分かんなくて。」


「え、Aちゃん彼氏いるの？」


隆二「うん。」


「意外すぎる。笑」





…はあ。






隆二「…いっつもそんなこと言ってるけど、可愛いよ、あの子。」


「可愛いって…今市くん、Aちゃんに弱みでも握られてるの？笑」


隆二「そんなんじゃなくて…素直でいい子だし、少なくとも…」


「…少なくとも？」





…少なくとも、君よりは女の子らしくて可愛いよ。





隆二「…なんでもない。よし、仕事しよ。」


「えーなにー？笑」





俺が最近無駄に話しかけちゃうせいで

ミルクちゃんが悪く言われてるのは知ってる。



だからやめなきゃな、なんて思ってたんだけど



ミルクちゃんって呼んで

振り向いたときのあの子の笑顔が好きだから、どうしてもやめらんなくて。





まあ、非常階段のことが誰にも知られてないのが、せめてもの救いかな。


あそこなら 誰にも邪魔されずに2人でお喋りできる。





…って

ハマりすぎでしょ、俺。




でもそれくらい、ミルクちゃんには魅力があるわけで



顔が可愛いだけじゃなくて

なんていうかな、雰囲気が可愛いっていうか、柔らかいっていうか



…安心する、が一番近いかも。





中毒性がある ミルクちゃんの存在


他の男には知られませんように、なんて

心のどこかで思ってた。



．

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