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ミルクちゃん ページ1

Aside







A「んー…さむーい…」






就業時間を3時間も過ぎた

夜20時





エレベーターホールの隣にあるドアを出てすぐ

非常階段に座り込んで、ひとり夜空を眺めていた。





…はあ

またこんな時間になっちゃった。





早く家に帰りたいな


抱きしめてほしいな






思ってはいるけど、どうしても集中できなくて

ここに逃げて来てしまった。




いつもはこういう時、6階にある休憩室に行くの。


隣の自販機でミルクティーを買って

ベンチに座って 一口飲んで、ため息をつく。




10秒間ぎゅっと目を瞑ったら、リセット。

これで3時間は頑張れる。





でも、さっき6階に行ったら

苦手な部長と苦手な上司がお喋りしてて


ミルクティーだけなんとか手に入れて

慌てて抜け出して来た。





そんな行き場所を失くしたわたしが辿り着いたのが

この、非常階段。



いいとこ見つけちゃった。

ここなら誰にも気付かれずに、リセットできる。






星なんて見えない夜空を見上げながら

冷たい空気を吸い込んで、ぎゅっと目を瞑った。






…ああ、今日も遅くなりそうってラインしなきゃ。



もしかしたら、ご飯食べるの待ってくれてるかもしれないし…


…まあ、今までそんなこと一回もなかったけど…





……はあ。








__________ガチャッ






その時、側のドアが勢いよく開いた。



びっくりして目を開けると

そこには






隆二「……うわ、びびったー。」






…うわあ、今市さんだ。



うちの会社で一番の色男、今市さん。


人気で人気で、わたしみたいな庶民じゃ到底お話できないような人。



…すごい。

こんなに近くにいるの、初めてかも。






A「…こんな、ところに…何か用でも…」






立ち上がるタイミングを失い

その綺麗なお顔を見上げながら問いかける。






隆二「…いや、なんていうか…そこ、俺の特等席?笑」


A「っえ、」


隆二「あー、いいよいいよ。座ってて。」






目を細めて笑いながらそう言ってくれて

優しい人だな、なんて思う。



非常階段の踊り場

その柵にもたれかかって、今市さんは 深くため息をついた。




…な、何か話さなければ…


そう心が焦り出し、咄嗟に話題を考える。




寒いですね、かな

それとも、おつかれさまです、かな



…どうしよう







隆二「…ねえ、ミルクちゃん。」







その時聞こえた声。



…ミ、ミルクちゃん…?





.

一応→



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はな - 今市隆二でまた話作ってください! (2020年4月14日 18時) (レス) id: f09f6f4b0a (このIDを非表示/違反報告)
miru1027(プロフ) - 今市さんメインのお話をなかなか探せなくて、でも、素敵なすごい素敵なお話しに出会えました!ありがとうございます!! (2019年6月11日 11時) (レス) id: c79621f3d3 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 本当に綺麗なお話で何回も読みにきてしまいます。 (2019年4月18日 23時) (レス) id: fed54832df (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 隆二くんのスイッチ、ずっとONならいいのになぁ、なんて(笑)名前呼びも隆二さんって呼ばせるところもすっごく幸せな気持ちになります!何度読んでも本当に本当に大好きなお話です。隆二くんの優しさが伝わってきます。キュンキュンです! (2018年2月8日 23時) (レス) id: 05e37e8b83 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - コメ嬉しいと書いてあったのもありコメしま〜す。(^O^)/だいちゃんはガンちゃんだったか‥。本物もこんな風に優しいんじゃないかなぁ〜。今市くん。プラスここぞ!で強引かもしれませんよ〜。繊細さも混みみたいな。 (2017年3月1日 12時) (レス) id: 8ee9a559fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2017年2月12日 21時

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