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好きだった ページ6

亜嵐side





亜嵐「A先生、これ全然わかんねえんだけど。」


A「これはね、ちゃんと公式があって…」


亜嵐「公式?」





基礎知識も何もなかった俺のために

白濱くん専用だよって まとめのノート作ってくれたり


放課後準備室に行くと、最終下校時刻になるまで つきっきりで教えてくれたり





俺を変えようとしてくれてる優しさが伝わって

たぶんその頃からもう、気持ちは固まってたと思う。






頬杖つきながら、A先生が黒板に向かってる横顔を眺めてた。


友だちの誘いを断ってまで、一緒にいたかった。







…好きだったんだよ。


たぶん、最初からずっと。









A「白濱くん、次は満点取れるかな。」





いつもみたいに放課後の時間を準備室で過ごしていると

ミニテストを作りながら、A先生がそう呟いた。






亜嵐「いけるっしょ。」


A「言ったね?」


亜嵐「だってこの前4点だったよ?あと1問じゃん、余裕。」


A「すごい、その自信。笑」


亜嵐「じゃあさ、…満点だったら、なんかご褒美ちょうだい。」


A「ご褒美?」


亜嵐「…A先生と1日遊べる券がいい。」


A「…なに?その券。笑」






子どもみたいって笑う先生をなんとか説得して

教育実習が終わったあとならいいよ、って条件で、ご褒美を貰えることに決まった。




まあもちろん結果は満点で

みんなから 亜嵐どうしたの?って心配されるくらいの成長っぷり。



全部、A先生のおかげ。





その日準備室に行くと、ルーズリーフの端っこをちぎった


わたしと1日遊べる券


A先生の丸っこい字で書かれたそんなご褒美が俺を待っていて。




いつ使おっかな、なんてニヤけながら

大事に大事に、財布の中にしまった。






A「変なの、白濱くん。」


亜嵐「…なんで?」


A「…毎日ここ来て、勉強してる。…ちょっと前まではこんなんじゃなかったって、担任の先生言ってたよ?」






…そんなの、A先生だからじゃん。


分かってるでしょ。自分でも。



白濱くんはわたしのことが好きなんだって

分かってるでしょ。




分かっててそんなこと言うの?







亜嵐「……勉強したくて来てんじゃなくて、…A先生に会いたくて来てんだよ。」







そう呟いた俺と

テストを採点する手が止まった先生




交わる視線は、言葉なんかなくたって

同じ気持ちだって そう伝わってくるものだった。



涙→←4年前



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ゆうき(プロフ) - すごく面白かったです。続編、書いてほしいです。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 9e39fec3dc (このIDを非表示/違反報告)
わたし - 読ませていただきました!続編読んでみたいです!!占ツクでこのお話が一番大好きで定期的に読ませてもらってます!ありがとうございます! (2018年10月5日 23時) (レス) id: 30aa3f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
こぁお - うわあ、きなこさん、さすがです。 本当に面白かったです。 感動をありがとうございました。 (2018年2月7日 18時) (レス) id: bd05a1edf1 (このIDを非表示/違反報告)
実波 - 久しぶりに読みました。これ、続編ないんですか?笑 (2017年9月26日 7時) (レス) id: 6e3449be8e (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - しばらく開いていなかった占ツク。きなこさんの最初の作品から読ませていただいています。冬のお話を、夏に読んじゃいましたが、きなこさんの世界観はやっぱり素敵だなと思います。この作品以降のものも時間を見つけて全部読ませていただきます! (2017年8月17日 14時) (レス) id: c2a087ffac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2017年2月1日 21時

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