狭間 ページ14
亜嵐side
亜嵐「…既婚者、っすか。笑」
「そうそう。春だったっけ？宮下先生。」
A「…はい、春に…」
「顔が良いと特だね〜。」
…顔が良いと特、って
なんだよそれ。バカにしてんじゃん。
A先生が綺麗なのは
中身が綺麗だから、それが表情に出てきてるだけなんだよ。
A先生にしかない優しさとか、雰囲気とか
そういうの全部含めてこの人が出来上がってんのに。
分かってないな
…なんて、4年前のあの1ヶ月をチャラにされたくせに、まだA先生のこと庇っちゃうのか、俺。
「じゃあ頑張れよ。」
亜嵐「…あざっす。」
会議があるからって出てった先生。
準備室にはまた、ふたりきり。
A先生、さっきより静かになっちゃって
…気にしてくれてる？結婚のこと。
嬉しいと苦しいの狭間
先生が俺とのことちょっとでも覚えてくれてて
それを気まずく感じてるのがどこか嬉しかったり
その反面
今幸せを掴んでる先生に 余計な悩みを作ってほしくないとか
それが原因で嫌われたくないとか、そんな苦しさもあって
どうすりゃいいんだよ
わかんねえよ
亜嵐「……指導案作んねえと。」
A「…うん、わたしも職員室行くね。」
亜嵐「…ん。」
A「…お疲れさま。」
亜嵐「…お疲れさまです。」
そんな定型文で先生の背中を見送った。
閉じられたドアにため息をついて
結局何も変われていない自分に気付く。
4年っていう月日が流れて
恋愛ができなくなってしまった俺と
既に誰かのものになってたA先生
会わない間にこんなに開いた距離は
もうこれ以上、縮めることはできないんだろうか。
…それとも、縮めたらいけないんだろうか。
バッカみてえ
なんでこんな、俺ばっか忘れらんないわけ？
…俺ばっか、って
A先生の気持ち、直接聞いたわけじゃないけど
でも分かるんだよ
ここで過ごしたあの1ヶ月間、俺らはきっと同じ気持ちだった。
これが、大人と子どもの違い？
過去のちっぽけな恋愛を引きずるほど、先生は子どもじゃないのかな。
……ああ、もう、ダメだ。
亜嵐「…考えんのやめよ。」
教育実習に来てんだから。
こっちに集中しねえと。
そう自分を誤魔化しながらパソコンに向き合う。
…きっと一ヶ月後も同じことを考えているんだろう
なんて思いながら。
．
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ゆうき(プロフ) - すごく面白かったです。続編、書いてほしいです。 (2019年9月18日 21時) (
レス) id: 9e39fec3dc (このIDを非表示/違反報告)
わたし - 読ませていただきました！続編読んでみたいです！！占ツクでこのお話が一番大好きで定期的に読ませてもらってます！ありがとうございます！ (2018年10月5日 23時) (レス) id: 30aa3f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
こぁお - うわあ、きなこさん、さすがです。 本当に面白かったです。 感動をありがとうございました。 (2018年2月7日 18時) (レス) id: bd05a1edf1 (このIDを非表示/違反報告)
実波 - 久しぶりに読みました。これ、続編ないんですか？笑 (2017年9月26日 7時) (レス) id: 6e3449be8e (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - しばらく開いていなかった占ツク。きなこさんの最初の作品から読ませていただいています。冬のお話を、夏に読んじゃいましたが、きなこさんの世界観はやっぱり素敵だなと思います。この作品以降のものも時間を見つけて全部読ませていただきます！ (2017年8月17日 14時) (レス) id: c2a087ffac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2017年2月1日 21時
