好きだったから ページ13
亜嵐side
A「…あのとき白濱くんが来てくれて、これわかんないって質問してくれて…満点取ってくれて。…自信持てたの。わたしでもできた、って。」
…わたしでも、じゃない。
A先生だったから、
A先生に会いたかったから、毎日ここに通ってたんだよ。
…なんてこと、今さら言えるわけないけど。
亜嵐「……A先生は教師に向いてると思うよ。」
A「…ありがとう。」
亜嵐「…A先生みたいになりたいなーって思って、俺も今ここにいるわけだしさ、まあ自信持ってよ。」
A「…聞いたときびっくりしたもん。…白濱亜嵐くんって、あの白濱亜嵐くん?って。笑」
亜嵐「俺だわ。笑 言ってたじゃん、A先生と同じ大学行きたいって。…まあ、…それは無理だったんだけどさ。」
A先生と同じ大学に行きたくて
先生が教育実習を終えた、あんな悲しい別れの後も、必死に勉強してた。
もちろん俺が入学する頃にはA先生は卒業してるし
一緒に通えるわけでもなかったけど
なんか、なんていうかな
とにかくほんとに好きだったから、同じ景色を見たかったんだよ。
A「…そんな風に言ってくれて嬉しいな。」
亜嵐「…悔しいわ、未だに。もうちょっと頑張っとけばよかった。」
A「……分かんないけど、じゅうぶん頑張ったと思うよ?三平方の定理知らなかった子が、よく受かったなって思った。」
亜嵐「昔の話ね。笑」
A先生が通ってた大学、国立だったんだ。
めちゃくちゃ勉強したけど
やっぱまあ、そのレベルには行き着かなくて。
結局私立の大学通ってる。
ここもなかなか偏差値高いんだよ?
数学科だったから、余計。
亜嵐「…でも…うん、また会えるって思ってなかったし…やっぱこの道選んでよかった。」
A「……うん。」
気まずそうに笑った先生
その横顔を見つめていたら、ガラってドアが開いて。
「お、白濱。どうだった?初日は。」
高校時代にお世話になってた、数学科のおじさん先生
亜嵐「いやもう、キツいっすね。笑 甘く見てました。笑」
「プレッシャーもあるし、まあ大変だろうね。笑」
亜嵐「ほんとそうっす。笑」
「宮下先生のクラス?」
亜嵐「はい。」
「…美人だからって惚れちゃダメだよ?宮下先生、こんな若くして既婚者だから。」
そんな言葉
視界の端に映る先生が 少し俯いて微笑んだ。
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ゆうき(プロフ) - すごく面白かったです。続編、書いてほしいです。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 9e39fec3dc (このIDを非表示/違反報告)
わたし - 読ませていただきました!続編読んでみたいです!!占ツクでこのお話が一番大好きで定期的に読ませてもらってます!ありがとうございます! (2018年10月5日 23時) (レス) id: 30aa3f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
こぁお - うわあ、きなこさん、さすがです。 本当に面白かったです。 感動をありがとうございました。 (2018年2月7日 18時) (レス) id: bd05a1edf1 (このIDを非表示/違反報告)
実波 - 久しぶりに読みました。これ、続編ないんですか?笑 (2017年9月26日 7時) (レス) id: 6e3449be8e (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - しばらく開いていなかった占ツク。きなこさんの最初の作品から読ませていただいています。冬のお話を、夏に読んじゃいましたが、きなこさんの世界観はやっぱり素敵だなと思います。この作品以降のものも時間を見つけて全部読ませていただきます! (2017年8月17日 14時) (レス) id: c2a087ffac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作成日時:2017年2月1日 21時