ただ事じゃない ページ21
亜嵐side
それから暫く、ちゃんと実習に集中しながら
A先生ともそれなりに距離を保ててた。
旦那のことはもう忘れようって
なんか、自分の中にそんな諦めも生まれて
そのおかげで逆にバランスとれてるのかも。
金曜日を迎えた今日
授業を持たせてもらえるようになって、5日目
クラスの雰囲気がいいのもあって
相変わらず特に問題はナシ。
A「白濱くん、昨日より良くなってた。すごいね、さすが。」
亜嵐「マジっすか？…最後ちょっと時間オーバーしちゃったのがなー…」
A「大丈夫だよ、あれくらい。」
亜嵐「適当っすね。笑」
授業のあとA先生と準備室に戻り
そんなお喋りをする。
最近、毎日こんな生活なんだ。
朝は7時半に門をくぐって朝礼に参加
放課後は22時近くまでここに残って
帰り、A先生を駅まで送る。
だから今日も、いつも通り
また同じことを繰り返すんだろうって
そう思ってたんだけど。
．
最終下校時刻を過ぎた、19時20分
亜嵐「…おっも…」
生徒の声が聞こえなくなった静かな廊下を、重すぎる資料を抱えながら ひとり歩いていた。
準備室にいたら主任と出くわして
面倒な雑用頼まれるっていうオチ。
この資料全部職員室に運んで、だってさ。
パシリじゃん、自分でしろよって言いたかったけど
学生時代のトラウマが蘇ってきて、秒速で引き受けた。
階段を下りて、さらに真っ直ぐ
ようやく辿り着いた職員室に資料を置いて、ほっとひと息。
手赤くなったし、はあ、最悪じゃん。
まあこれ主任が運んでたら相当時間かかっただろうし、人助けと思って許してやろう。
なんて思いながら、職員室から出てドアを閉める。
その時
ちょうど同じタイミングで
向かい側にある面談室のドアが開いて
亜嵐「…A先生？」
中から出てきたの
A先生と、学年主任と、それから…誰かの保護者？
分かんねえけど、とりあえずめちゃくちゃ重い空気。
A「長引かせてしまって申し訳ありませんでした。…本人の意思を尊重しますので、こちらのことは気になさらないでくださいね。」
そう言った先生
すごく悲しそうな顔をしてた。
ただ事じゃないなって、誰が見ても分かるくらいに。
．
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ゆうき(プロフ) - すごく面白かったです。続編、書いてほしいです。 (2019年9月18日 21時) (
レス) id: 9e39fec3dc (このIDを非表示/違反報告)
わたし - 読ませていただきました！続編読んでみたいです！！占ツクでこのお話が一番大好きで定期的に読ませてもらってます！ありがとうございます！ (2018年10月5日 23時) (レス) id: 30aa3f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
こぁお - うわあ、きなこさん、さすがです。 本当に面白かったです。 感動をありがとうございました。 (2018年2月7日 18時) (レス) id: bd05a1edf1 (このIDを非表示/違反報告)
実波 - 久しぶりに読みました。これ、続編ないんですか？笑 (2017年9月26日 7時) (レス) id: 6e3449be8e (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - しばらく開いていなかった占ツク。きなこさんの最初の作品から読ませていただいています。冬のお話を、夏に読んじゃいましたが、きなこさんの世界観はやっぱり素敵だなと思います。この作品以降のものも時間を見つけて全部読ませていただきます！ (2017年8月17日 14時) (レス) id: c2a087ffac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2017年2月1日 21時
