ユアマイドール【佐野玲於】

心配なんだよ ページ32

玲於side






裕太「…二日酔いちゃうん。」


玲於「…あいつアルコール苦手じゃん。二日酔いなるほど飲まない。」







昨日、全然Aのこと気にしてやれなかった。



チカちゃんばっか見てて

隣にいたAのこと、構ってやれなかった。








玲於「…隼、昨日ちゃんと家まで送ったよね？」







ふと帰りのことを思い出して、そう尋ねる。


目が合って、神妙な面持ちになった隼は






隼「…いや、あの…一人で帰るって言うから…」


玲於「…タクシー乗るとこ、ちゃんと見たの？」


隼「…見てないっす。」







…やっぱり、俺が送ってやればよかった。



なんで昨日 あんなにAのこと突き放したんだよ、俺。



あいつの気持ちなんて1ミリも考えないで

自分のことでいっぱいいっぱいで…









脱ぎ捨ててたアウターを羽織った。

撮影が始まるまで、あと40分





メン「え？どっか行くの？」


玲於「…Aの家。」


涼太「え、大丈夫だって！寝てんだよ。寝坊だよ。」


玲於「だったら俺が起こす。」






罪滅ぼしなんて思ってない。


でも、どうしても、こんな気持ちでただ待ってるなんてできない。






楽屋を出て、小走りでエレベーターに乗り込んだ。


焦る気持ちで 一階に着いたそれから降りると







A「え、玲於くん。」







目の前に、キョトン顔で突っ立ってるAの姿。







A「…何してるの？」


玲於「…こっちのセリフなんだけど。」


A「え、…出勤…」





……はあ、


なんだよ、もう。





玲於「…心配させんなよ…バカ。」


A「…心配って…まだ遅刻してないよ？」


玲於「…いっつも一番に来てる奴がいなかったら心配すんでしょ。」


A「…どこ行こうとしてたの？」


玲於「…お前ん家。」





…あーあ、だっせえな

無駄にヒヤヒヤしたし



Aのせいだわ、マジで。






A「…ありがとう、嬉しい。」


玲於「…だってお前が電話出ないから。」


A「…あの、電車乗ってから充電無いの気付いて…携帯に今日の場所とか書いてたら、一回事務所寄って…」


玲於「…ほんと勘弁して。」





ふたりで乗り込んだエレベーター



ちらって隣を見ると 頬っぺた赤くして

嬉しそうな顔してる。







…はあ




心配なんだよ


お前って、いっつも無防備だから。


．

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