三色スミレ 特別編

誰が好きなの？ ページ6

玲於side






玲於「…はあ、」





なんだよ、あいつ。



わたしも全部一番だよとか

俺を見つめるあの目とか






玲於「…期待させんなっつーの。」





ベッドに寝転びながら

枕元のうさぎに向かって話しかける。






臣さんがいない間

色んなことがあった。




あいつに気持ちぶつけて

ごめんねって断られて




もうやめようって決心ついたとこで、

あいつが部長に呼び出されてんの見て



…庇わずにはいられなかった。





あいつの悲しむ顔は見たくないし

その悲しみを、俺じゃ満たしてあげられないから。





それならいっそ俺が、…なんて



…結局は、あいつの中で特別になりたかっただけだろ。




わたしたちのことを庇ってくれた、優しい佐野くん


その立場を、手に入れたかっただけだろ。





…結局俺は、あいつを忘れられない。



部署が離れて会えなくなったのはいいけど

ずっと頭から離れねえし。





昼休憩なんか、何度も電話しようと思った。



あいつ人見知りだから

寂しくしてんじゃないかって。





…まあ、寂しいのは俺の方なんだけど。







玲於「あーーもう、」







ダメだ

ほんとダメ




4年間の、あいつの色んな横顔が消えてくれない。





よく泣くし

弱いけど


その分たくさん笑顔をくれる




どんなに嫌なことがあって沈んでる日でも

Aの顔を見るだけで、全部どうでもよくなるんだ。



だから会いたいし

ずっとそばにいたいし


笑わせてあげたかった。









…ほんと、どんだけ好きなんだよ。



バカじゃねーの、俺。






叶わないって分かってんのに


分かってんだったら、さっさとやめちゃえばいいのに。




うさぎの耳撫でながら

ため息をこぼす。







玲於「……お前、誰が好きなの？」








まさかAが揺れてるなんて知りもせずに




どうやったら忘れられるか、なんて

そんなことばかり考えていた。




．

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