三色スミレ 特別編

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玲於side





玲於「あ、」


A「あ、」





それから何日か経った日の夜


風呂入った後、缶ビール片手にベランダに出たら 水やり中のAとばったり。





A「ねえ、風邪ひいちゃうよ？こんなに寒いのに。」


玲於「まあそんときはそんとき。」


A「もお…」


玲於「……その花さあ、なんかあんの？そんな大事にして。」


A「…んー…ちっちゃい時にね、公園でよく見てたから。思い出の花。」


玲於「…ふーん…」


A「……でも、新しい花も買ってみようかな。」


玲於「…じゃあ今度、見に行く？」


A「行く！行きたい！」





お花屋さんデートだってはしゃいでる。


…可愛い、なんて

本人には絶対言わないけど。





A「ねえ佐野くん、」


玲於「れーお。」


A「…無理。」


玲於「無理じゃないでしょ。ほら、れお。」


A「……れお。」





…やばい

言わせた俺の方が恥ずかしい、コレ。





玲於「…あの、やっぱ佐野くんでいいわ…」


A「佐野くん？」


玲於「…はい。」


A「…れお。」


玲於「…お前さあ、」


A「あは、ごめんごめん。佐野くんね、佐野くん。」





楽しそうな横顔



これからもたくさん笑わせてあげたいな


俺にできることなんて小っちゃいかもしんないけど

それでも、Aが幸せだって思ってくれるように。




もっともっと、でかい男になりたい。







A「…なんかさ、邪魔だね。この壁。」





ベランダの仕切り板をとんとんって触りながら

そんな可愛いこと言ってる。







玲於「…じゃあ、一緒に住む？」


A「……どうせ隣だしね。」


玲於「今とそんなに変わんないって。」


A「うん、そうかも。」


玲於「…とりあえず…今からそっち行っていい？」







うんって、嬉しそうに頷くA。









…ほらね、俺、最初から分かってたんだ。



絶対こいつと結ばれるって。









俺が望む10年後の未来




それは、




パイロットになって宇宙に行くことでも

警察官になって人を守ることでも

サッカー選手でも野球選手でもなくて





スーツ姿でただいまって家に帰った俺を


おかえりなさいって迎えてくれる、Aだけ。






楽しいときは、ふたりで笑おう


悲しいときは、ふたりで泣こう








そんな毎日を生きたいと


Aの笑顔を見てたら思うんだ。









三色スミレ 特別編

---end---


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