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寂しくない ページ26

Aside






そんな重い空気の中、ちらっと隣を見ると

膝の上に置かれた臣くんの手が目に入る。





…この優しい手で、たくさんわたしのこと愛してくれた。


こっちだよって、わたしの左手を引いてくれた。





A「…臣くん、」


広臣「…ん?」


A「……ううん、なんでもない。」





なにそれって

言いながら、わたしの頭を撫でてくれる。



…ドキドキして 甘い気持ちになって

ずっとこのままでいられたら、またわたしは前みたいに戻れるんだろうか。





臣くんのことしか考えられない

何もできなくて、弱くて、泣き虫なわたしに。





広臣「…なあ、最近何考えてんの?」


A「え?」


広臣「ぼーっとしてんじゃん。」





…佐野くんのこと、とか

言っちゃっていいの?



でもたぶん臣くんは勘が鋭い人だし

嘘をついても無駄な気がするし






A「…あー、えと、なんかね、佐野くん引っ越しちゃうらしくって。」


広臣「え、玲於?引っ越すの?」


A「…うん。」






寂しくない

寂しくなんかない


臣くんがいるから、寂しくなんて…






広臣「…寂しいんだ?」






全部分かってるよって

そんな表情の臣くん



…認めちゃダメだ。






A「…寂しくないよ、」


広臣「……4年間ずっと隣にいて…そんなヤツがいなくなんだよ。」


A「…でも、寂しくないよ…」


広臣「…嘘つかなくていいのに。」


A「嘘じゃない、」






嘘じゃない

寂しくない

佐野くんがいなくたって、わたし平気だよ






広臣「…じゃあなんで泣いてんの?」






これからひとりになる何年間か



その間、臣くんとの記憶だけで生きていけるって


たまに帰ってくる臣くんに飛びついて、抱きしめられて、おかえりって言う


わたしはそのためだけに生きるんだって





だから寂しくない

佐野くんがいなくなるくらい、なんてことない






A「おみくんが、いなくなるから…だから、…」


広臣「…そっか。」






これが嘘かほんとか

自分でもよくわからない





それでも





わたしの胸にぽっかりと空いた穴





これを埋められるのは一人しかいないと

心のどこかでちゃんと分かっていた。






また今日も→←一緒に?



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はなこ(プロフ) - 号泣しながら何回も読んでます。佐野くんが報われてほんとに幸せです、佐野くんラストを作ってくださってありがとうございます( ; ; )三色スミレもそうですが、きなこさんのお話どれも大好きです。ほんとに本出してほしいです(笑) (2020年3月25日 17時) (レス) id: 7f49a4f7b8 (このIDを非表示/違反報告)
まなみ(プロフ) - やばいです( ; ; )一気に読みました。臣くん玲於くんが好きなので、めちゃくちゃキュンキュンしたり、切なくなったり。玲於くんオチが良かったのでアフターストーリー読んでみたいです! (2019年9月15日 20時) (レス) id: 4674ba14b6 (このIDを非表示/違反報告)
よしのちゃん(プロフ) - 突然読みたくなって一気に読み返しました。きなこさんの作品はいつみても素敵な作品しかなくてほんとに大好きです。感動する作品をいつも有難う御座います..! (2019年5月31日 20時) (レス) id: c95bcff958 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 三色スミレ、大好きなお話です。細かい部分まで書かれていたり、言動も本物みたいで。きなこさんは本当にすごい方です。おみくんのラストもれおくんのラストも選べないくらい素敵な素敵なラストでした。何度読んでも大好きなお話です(^^) (2018年2月23日 22時) (レス) id: 05e37e8b83 (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - おんもしろかったです、玲於くん、私得でした。 (2017年12月26日 1時) (レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2016年10月28日 22時

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