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友だち? ページ18

Aside






金曜日



仕事を終えて家に帰って

臣くんの家に行く準備をしてた。



大事な話ってなんだろう

とか

晩ごはんはどうするんだろう

とか、そんなことを考えながら。




気付けばもう20時になっていて

三色スミレにお水をあげてから、急いで玄関に向かう。




ドアから出て、そのまま階段がある左を向くと





玲於「鍵、ちゃんとしろよ。」





スーツ姿で、たぶん今帰ってきた佐野くんがいた。





A「…忘れてた。」


玲於「バカ。まじで知んないよ、俺。泥棒来ても。」


A「…追い払ってくれたり、」


玲於「しないから。」






最近わたし、頑張って避けてたつもりだけど

なんか意味ないかも。


会えばこうやって、いつもみたいに話してしまう。





佐野くん、ちょっと笑いながらわたしの横を通って

自分の玄関前で止まった。


ちらってわたしを横目で見て





玲於「…どっか行くんすか。」


A「…うん、まあ。」


玲於「…彼氏の家っすか。」


A「……まあ。」


玲於「…その彼氏から電話かかって来たんすよねー。しかも仕事中に。」




嫌味っぽくそんなこと言ってくる佐野くん。

電話って、異動のことだよね。





A「…なんて言ってた?臣くん、」


玲於「…知らねえ。まだ間に合うとかなんとか。」


A「…それで?」


玲於「…今更ほんとのこと言ってもAが悲しむだけっすよって言っといた。で、なんか謝られて、終わり。」





…終わり、か。


臣くん許してくれたんだ。

納得はしてないかもしれないけど。





A「…迷惑かけてごめんね。」


玲於「…今回のは俺が勝手にしたことだし。」


A「…ありがとう。」


玲於「……友だち助けんのなんて、当たり前じゃん。」


A「…え?」


玲於「…じゃ、彼氏とのお泊まり楽しんで。」





パタン、と閉じられたドア。


それを見ながら呆然と立ち尽くすわたし。





…友だち?


なんで、友だちなんて…





佐野くんこの前、酔った勢いで だけど

わたしのこと好きって言った。



全部覚えてるもん。

耳元で聞こえた、あの優しい声。







…ああわたしって、とことんずるい。




ごめんねって振ったのはわたしなのに

こうやって突き放されると悲しくなる。




嫌いにならないで、って

子どもみたいなこと思ってしまう。








いつからこんなに

わたしの心の中は、佐野くんでいっぱいになってたんだろう。



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はなこ(プロフ) - 号泣しながら何回も読んでます。佐野くんが報われてほんとに幸せです、佐野くんラストを作ってくださってありがとうございます( ; ; )三色スミレもそうですが、きなこさんのお話どれも大好きです。ほんとに本出してほしいです(笑) (2020年3月25日 17時) (レス) id: 7f49a4f7b8 (このIDを非表示/違反報告)
まなみ(プロフ) - やばいです( ; ; )一気に読みました。臣くん玲於くんが好きなので、めちゃくちゃキュンキュンしたり、切なくなったり。玲於くんオチが良かったのでアフターストーリー読んでみたいです! (2019年9月15日 20時) (レス) id: 4674ba14b6 (このIDを非表示/違反報告)
よしのちゃん(プロフ) - 突然読みたくなって一気に読み返しました。きなこさんの作品はいつみても素敵な作品しかなくてほんとに大好きです。感動する作品をいつも有難う御座います..! (2019年5月31日 20時) (レス) id: c95bcff958 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 三色スミレ、大好きなお話です。細かい部分まで書かれていたり、言動も本物みたいで。きなこさんは本当にすごい方です。おみくんのラストもれおくんのラストも選べないくらい素敵な素敵なラストでした。何度読んでも大好きなお話です(^^) (2018年2月23日 22時) (レス) id: 05e37e8b83 (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - おんもしろかったです、玲於くん、私得でした。 (2017年12月26日 1時) (レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2016年10月28日 22時

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