三色スミレ5【臣×玲】

いつか ページ48

玲於side







玲於「うわ、」






昨日と同じ失敗


またジョウロから水こぼして、リビングにぶちまけた。





なにこれ、Aいっつもどうやってんの？

わかんねー。





適当にタオルで拭いて

ベランダに出る。




丸い形のプランターが4つ

その中に所狭しと咲いてる花



なんつったっけ？


…なんとかスミレ

えーと…






玲於「…白、黄色、紫…」






…あ、思い出した。

三色スミレだ。




なんでこの花にこだわってんのか分かんねえけど

あいつの反応見る限り、なんかあんだろうな。







玲於「…枯れんなよ、お前ら。」






Aが帰ってくるまでは、俺が世話してやる。







ジョウロの水が無くなって

ベランダにしゃがみ込んだ。





…もう21時か

今頃何してっかな。





…いや別に、会いたいなんて思ってねえし


ただほら、

こういう時間がちょっとヒマなだけ。






玲於「……友だち、かあ。」






なれんのかな。


今はまだ、正直無理かも。




いつか


なんの気もなしに、あいつにアイス一口分けてやったり

なんの気もなしに、臣さんの話聞いたり




そんな風に

ほんとの友だちに、いつか…






そのとき風が吹いて

目の前の三色スミレが一斉に揺れた。








…ああ、ダメだ



やっぱり会いたい




あいつの笑顔見ないと、なんか調子出ないんだよ。





俺って本当にダメな男だ。



好きな気持ち消さなきゃ、Aが困るのに。

友だちでいなきゃ、隣にはいられないのに。






分かってるけど…







玲於「っクシュン、」






あ、やべ

風呂上がりなの忘れてた。





なんだろ、最近ちょっと風邪気味っていうか。


せっかく夏休み入ったのにコレはないわ。





…なんて思いながらも、熱出たらAに看病してもらえるかな、なんて





また友だちじゃありえないこと考えてる。






リビング入ると ソファーの後ろの壁に 10枚くらいチェキがオシャレに貼ってあって


全部大学のときの写真なんだけど

一番右に、俺とのツーショットがある。




当時仲よかった4人でドライブ行った時

後部座席で俺らが喋ってるとこを友達が勝手に撮ったやつだけど


これをAが貼ってくれてるってのが、なんかすげー嬉しくて


俺に笑いながらなんか話してるA







玲於「…かわいい。」







…早く帰ってこいよ。



臣さんの話でも何でも聞いてやるから







…お前がいないと、つまんねえよ。




．

きなこ→←全部

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す