三色スミレ5【臣×玲】

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広臣side






カタカタ下駄鳴らしながら

俺の後ろをついてくるA。




それだけで満足なはずなのに



…けど、俺を煽るのはお前だろ。

いつだって、お前が俺をその気にさせる。






広臣「…入って。」







戻ってきた別荘

二階にある、俺と隆二の部屋。




この部屋のテラスから 花火見えるかなって思ったんだ。


出てみると、木で少しは隠れてるけど

ほとんど見えてる。






A「…わあ、ここからも見える。」


広臣「…ここなら邪魔も入んないしね。」






花火の音と、光

それを眺めるAの横顔





抱きしめたくなったの我慢して

口を開く。







広臣「…お前さ、隆二にハマってんじゃねえよ。」


A「ハマってないよ、今市さん、酔ってただけだよ。」


広臣「…それでも嫌なんですけど。」







横髪をそっと耳にかけた。


A、眉毛下げて嫌そうな顔したけど

俺はこの下膨れが好きなんだって。



わざわざ隠すなよ。









広臣「…俺の隣にいろって言ったじゃん。」


A「…けど、」


広臣「けどじゃない。」







ほんのりと赤く染まった その頬に触れる。


できるだけ

優しく、優しく。







広臣「……お前が可愛いから、こっちは気が気じゃねえの。」







潤んだその目も色っぽくて

少し見えてる鎖骨が 余計に俺を男にさせるんだ。








こうして見つめ合うだけで十分なのに








A「……わたし、臣くんのだよ。」








Aはそう言って

いつも不器用な愛をくれるから。







そっと、小さなその体を抱きしめる。



少しでも力を込めれば壊れてしまいそうな程

弱々しい。









A「……臣くん、好きだよ。大好き。」









" 佐野くんが好きなんだって、気付くはずです "









ああなんでこんなときに

曽田さんの言葉なんか…





つい、抱きしめる腕に力が入る。





あんな言葉、気にしなくていい



俺はAが好きで

Aも俺が好きで




今が幸せならそれでいいわけじゃないけど


でも、

お互いに想い合っていられる限り、俺らはずっとこのままだ。









広臣「…来年は、俺だけに見せてよ。」


A「…なにを？」


広臣「…水着も、浴衣も…全部。…Aは俺のなんでしょ。」


A「…うん、わかった。…全部、臣くんにあげる。」





花火の光と

甘い甘い、そんな言葉たちに酔いしれながら




ただひたすらに、お互いを求めた。




．

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