三色スミレ5【臣×玲】

ちょうだい ページ34

Aside





別荘から歩いて5分もしないところに

ほとんどプライベートビーチ状態の砂浜が広がってる。



海もなかなか綺麗で

修学旅行で行った沖縄の海には劣るけど、最近見た中じゃ3本の指に入る透明度。




花火をするには十分暗くなってて

3本立てられたロウソクがムードを高めてる。






美琴「すごい！ほんとに海だ！」


鬼城「ほんとに海だよ。笑」





アルミのバケツに入れられた大量の手持ち花火。

隣には水が張られた水色のバケツが置かれてる。






隆二「Aちゃ〜ん。」


A「今市さん、」





暗くてよく見えないけど

タオル頭に巻いて、なんかもう工事現場の人みたいな今市さんが笑顔で一本渡してくれた。





A「ありがとうございます。」


隆二「あそこのクーラーボックスの中にアイス入ってるよ。」


A「え、アイス？」


隆二「うん、花火しながらアイスとか贅沢。笑」





それはほんと、贅沢だな。

早速曽田さんにも声かけて、ふたりでクーラーボックスを覗いた。





A「うわ、大量！笑」


美琴「もうコンビニじゃん、これ。」





たくさんある中から

曽田さんはオレンジの棒アイス

わたしはバニラのカップアイスにした。





…けど、これスプーンで食べるやつだ。

蓋開けてから気付いて、早速後悔。







A「…間違えた。」


広臣「なにが？」






みんなが既に火つけて花火楽しんでる中

ため息ついたわたしのそばに来て、そう聞いてくる臣くん。



その右手にはしっかりきれいな色した花火が握られてて






A「今市さんがね、アイスあるって言うから選んだんだけど…」


広臣「あ、バカじゃん。笑 花火できねえ。」


A「…花火とアイス、交互にしようっと。」






今市さんがくれた花火を臣くんにあげて

とりあえずアイス食べる。暑くてもう、汗ダラダラだったから。






広臣「…うまい？」


A「うん、おいしい。」


広臣「…ちょうだい。」





言いながら、わたしの目線に腰下げて

口開けて待ってる。






A「え、ちょ、ダメだよ。」


広臣「誰も見てねえよ。」


A「けど、」


広臣「ほら。俺花火持ってて両手塞がってるし。」






ね、って

諭すような笑顔。





キョロキョロ周り見て、みんなが花火に夢中なの確認して


臣くんにスプーンで食べさせてあげた。








臣くんといたら、心臓がいくつあっても足りないや。







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