三色スミレ5【臣×玲】

生意気 ページ23

広臣side






玲於『…臣さん、俺大丈夫っすよ。あいつのことはもう、好きじゃないです。…好きじゃない。』






玲於が何に気遣ってんのか分かんねえけど

そんな苦しそうな声、無理してるって丸わかりだよ。






広臣「…玲於、いいの？それで。…俺が言うことじゃねえけど…お前、ずっと好きなんだろ。Aのこと。」


玲於『……なんすか、それ。俺に告白しろって言ってんすか。』


広臣「そうじゃねえよ、」


玲於『今俺が気持ち伝えたら、あいつが困るから。Aを悲しませるくらいなら、俺が我慢した方がよっぽどマシです。

……だから、友だちとして、Aのそばにいさせてください。』









そう懇願する、苦しそうなその声




…なんの罰だよ、コレ。









玲於『……でも臣さん、』


広臣「…ん？」


玲於『…臣さんがあいつのこと泣かしたら、抱きしめんのは俺の役目です。』


広臣「……ずりいな、それ。」


玲於『…あいつを泣き止ませるのは、きっと俺の方が上手いから。』








玲於とAを繋ぐ

深い深い、絆




それを俺が超えることはできないし

むしろ超えてはいけないと思う。






それでも玲於は、

Aの気持ちを俺にくれるんだ。









玲於『…Aのこと、好きなんですよね。』


広臣「…うん。」


玲於『従兄妹同士って、分かってて好きなんすよね。』


広臣「…好きだよ。」


玲於『だったら…4年前の俺に戻ります。Aを好きになる前の、俺に戻ります。』







力強くそう訴えかけてくる玲於だけど

その言い方は、自分に言い聞かせてるように聞こえた。




言葉にしなきゃ、やってらんねえんだろ


ずっと好きだったやつを諦めるなんて、簡単にできることじゃない。









玲於『…でも、あいつには俺が必要だってわかったら…その時は、俺が貰います。』


広臣「…あげねえよ、誰にも。」


玲於『…だったら頑張ってください。あいつを飽きさせないように。』







それじゃあ、と 切られた電話。




ずいぶん生意気なライバルじゃん。






…ライバルじゃねえか


玲於はAの、親友だよな。









丸く収まったと思っていた。



玲於とAの関係も

俺とAの関係も








…でも考えてみれば






4年間、積もりに積もった玲於の気持ちが


簡単に消えるはずがなかったんだ。




．

いつもの朝→←あんまりだ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す