三色スミレ5【臣×玲】

知ってたんだ ページ17

Aside







A「佐野くん、ごめんね、ほんとに…ごめんね。」







泣くの我慢して

しゃくりあげながら必死に訴える。





わたしが 避けてたのに

わがまま言って

自己満足で

佐野くんのこと、たくさん傷つけたのに




それなのに

こんなに優しく…








玲於「……戸締り、ちゃんとしろって言ったじゃん。」


A「…うん、」


玲於「…悪いヤツが入って来るかもしんねえって…」


A「……うん、」


玲於「…俺が悪いヤツだったら、どうすんだよ。」


A「…佐野くんは、悪いヤツじゃないから、」







わたしを抱きしめる佐野くんの腕が

ぎゅって、強くなる。



苦しいけど、離してなんて 言えるわけなくて








A「……やっぱり、佐野くんがいないとつまんないよ、…ごめんね。」


玲於「…気付くの遅えよ。」


A「だって…」


玲於「…Aのつまんなそうな顔見んの、そろそろ飽きたし。……久々に笑った顔が見たいんだけど。」






ぐいって体離されて


至近距離に映る、佐野くんの顔







玲於「……笑えよ。」







涙で顔中濡れてるわたしに、そんなこと言ってくる佐野くん。


…ドSなの、知ってるよ。




それでも頑張って無理やり口角上げてみたら

あははって笑って






玲於「ぶっさいく、最高だねA。」


A「…ひどいよ、仲直り早々。」


玲於「可愛いって言ってほしかった？」


A「…そんなんじゃないもん。」






そう答えたわたしのこと

今までと違う、切なそうな目で じっと見つめた佐野くんは



優しくわたしの髪を撫でて









玲於「……だって、可愛いは臣さんに言ってもらえるでしょ？」









そう、呟いた。









A「…え？」







心臓、ドキドキしだす。


佐野くんが言ってること すぐには理解できなくて








玲於「……Aは臣さんが好きで、…臣さんもたぶん、Aが好きで。…付き合ってたりすんのかは分かんないけど。」








優しい口調

ただ、すごく切ない目をしているだけ。




……知ってたんだ。









A「…なんで…」


玲於「……ずっとAの隣にいたのに、気付かないわけないじゃん。」







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