三色スミレ【臣×玲】

ムカつく？ ページ19

Aside








玲於「ふぅーん。サマイベね。」


A「キャンプするんだって。」








その日の帰り。


いつものバスの、後ろから2番目の席に
2人で並んで座った。









玲於「いいじゃん。楽しそ。」


A「…じゃあ代わりに佐野くんが行ってよ…」








臣くんがいるから行きたくない


って、これだけじゃ語弊がある。






臣くんがいたらきっと、




ドキドキするし

苦しいし

たぶん、傷付くこともあるし





だから嫌なの。








玲於「俺んとこ、リーダー厳しくて。やってけねえよ。」


A「…佐野くんなら大丈夫だよ。」


玲於「……ん。」








佐野くん、自分に厳しいから。



何も無駄にしないの。

小さなことの積み重ねが大事だって、誰より分かってる。









A「……ねえ。佐野くんって、従兄妹いる？」


玲於「ん？従兄妹？いるけど。一個下と、三個下の女。あと五個上の兄ちゃん。」


A「仲良いの？」


玲於「んー、正月とか夏休みとか、ばあちゃん家帰ったときにたまに会うくらい。」


A「なんの話するの？」


玲於「…え、覚えてねえ。お雑煮食った？とか。」


A「他には？」


玲於「…お雑煮の餅何枚食った？とか…」


A「お雑煮の話しかしないの？」


玲於「ちげーよ思い出せねえんだよ。従兄妹との会話なんていちいち記憶してない。」









従兄妹との会話なんて、か…





臣くんとの小さい頃の思い出、わたしたくさんあるのに。

忘れられないのに。








玲於「なに？突然。」


A「ううん。ちょっと気になって。」


玲於「あっそ。」








それから…








A「佐野くん、友だちできた？」


玲於「…友だちっていうかまあ…なんか話しかけられた。」


A「それって女の子？」


玲於「うん。」






ふと、臣くんが言ってたことを思い出した。






A「佐野くんお願い、社内恋愛はしないで。」


玲於「は？」


A「バレたら、他の部署に飛ばされちゃうんだって。嫌だよわたし。佐野くんいなくなったら。」


玲於「…バカかよお前。ムカつくわ。」







む、ムカつくって







A「わたしは警告してあげて…」


玲於「それがムカつくんだよ。お前に言われると腹立つ。」


A「なんで？」


玲於「だいたい俺はお前が…」









途中まで言いかけて、なんでもないってそっぽ向いてる。


わけわかんないな。もう。




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