魅惑のマーマレード2【登坂広臣】

キャッチ ページ35

Aside








A「ミカさん、この書類って…」


ミカ「あー、それは月末までだから焦んなくていいよ。」


A「月末まで、ですね。」






時計を見ると、もう19時を回ってた。



週初めからハードだなーなんて思いつつも、

仕事を残して帰るのが嫌で、つい張り切ってしまう。







ミカ「月末までだよ…？」


A「私忘れっぽいんで、今しとかないと。」


ミカ「ほんっとマジメだねー。」


A「物忘れ激しいだけです。」


ミカ「じゃあ私帰るよ？」


A「はい、おつかれさまです。」







私も早く終わらせて帰ろう。


そう心に決めて、急ぎ目でキーボードを叩く。







そういえば、前に残業してたら岩田くん来てくれたなあー

とか


やっぱり岩田くんのこと考えたらドキドキするから、わたしの好きな人は岩田くんだ。そうだそうだ。

とか



そんなことを考えてるうちに、月末までの書類をまとめ上げてしまった。







A「わたし天才かも…」







自画自賛しながら荷物をまとめて、エレベーターに乗り込んだ。








〜♪





そのとき、鳴り響く携帯。


見ると 臣さんから。







……べ、べつにドキドキしてないし…









A「なに？もう。」


広臣『いや突然なに怒ってんの？笑』


A「……間違えた。やりなおしね。……臣さんお仕事おつかれさま。」


広臣『意味わかんねえ気持ちわりい。笑』







気持ちわりい、って…


せっかくやりなおしてあげたっていうのに。








A「…で、なに？」


広臣『あー…今何してんの？』


A「事務所のエレベーター降りたとこ。」


広臣『え、遅くね？もう21時なるけど。』


A「わたしマジメだもん。」


広臣『へえ、笑』






笑ってる臣さん。


臣さんの笑い声は、ちょっとだけ好きだったりする。







広臣『まあそれはいいんだけどさ、ちょっと聞きたいことが』


A「あ、待って。ミカさんからキャッチ来た。とりあえず切るね。」


広臣『え？ちょ、待っ』







臣さんには後でかけ直すとして、

とりあえず今かかってきたミカさんからの着信をとる。








A「はい！」


ミカ『Aちゃん、あの書類月末までって言ったけど、週末までだった！』







うわー、書類終わらせといてよかったあー


大丈夫ですよ、とお返事をして電話を切った。




臣さんへは、家に帰ってから掛け直そう

と決めて。




．

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