魅惑のマーマレード2【登坂広臣】

バランス ページ4

広臣side









広臣「嘘。……分かってんだろ。自分でも。」









細い手首を掴んで、もう一度家の中に入れる。



相変わらずしかめっ面なA。






なんで俺、こんなめんどくさい奴に惚れてんだろ。






ほっとけばいいのに。


それがどうしてもできない。









広臣「……Aが好き。他のどんないい人より、Aがいい。……好きなんだよ、あーもう…まじで好きなんだって…」









Aのこと全力で抱きしめながら、

どれだけ俺がAを好きか、全部ぶちまける。






たぶんそれがいちばん、

いまAが望んでることだと思うし。









広臣「……俺のこと好きになれよなんて、そんなこと言わねえからさ。…だから、これからも一緒にいて。俺に、…元気ちょうだい。」





A「……わたしは…何をしたらいい？」





広臣「……笑ってるだけでいい。」









俺はAの笑顔が見たいから、



だから、我慢をする。








我慢をしたら、Aの笑顔が見れる。









ね、なかなかいいでしょ。

これ。







……なんて、自分の笑顔が引きつってくのは

ほったらかしのくせに。









広臣「…だからこの服もさ、俺がAのことが好きだから…着せてやりたかっただけ。ガンちゃんと付き合って欲しくて、着せたんじゃない。」



A「……よくわかんないよ、」



広臣「…いいんだって。俺が分かってるから。だからいじけてないで…デートのこと話してよ。」









俺のこの気持ちが拒まれない、そのバランス。




いつまで保てるかなんて…俺にもわからねえけど。









広臣「明日も休みでしょ。もう泊まっていけば？」


A「…けど…」


広臣「てか泊まってって。今から送るのめんどいし。」









こうやって少しでもいっしょにいたいって思うくらい、許して。





俺だって一応頑張ってんだし。









こいつのこと、力ずくで自分のもんにするのなんて

きっと簡単だ。








けどそんなこと絶対にできない。






それは、俺が本気で大切にしている子だし



無理やり気持ち変えさせるようなことしたくないし








.









それに、




Aは、ガンちゃんと一緒にいるときが

いちばん綺麗なんだ。








いちばん綺麗なAが俺と目を合わせてくれるまで、




絶対こいつに手は出せない。









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