魅惑のマーマレード2【登坂広臣】

どうして？ ページ2

Aside








剛典「22時過ぎちゃったね。ごめん、遅くなった。」


A「いえ…」







どうぞ、って タクシー停めてくれて。

申し訳ないけどお先に乗り込む。







剛典「えー、と…家…」


A「あ、家は…」








前に一度送ってもらったことがあるけど…

さすがに覚えてないよね。





運転手さんに住所を告げると、動き出す車。








……今日が、終わってしまった。



幸せだったな。


きっと、今まででいちばん素敵な1日だった。









剛典「……あのさ、」








沈黙が続いていた車内に

岩田くんの、いつもより少し低い声が響く。









剛典「…今日の服、俺めちゃめちゃ好みなんだけど…偶然？笑」


A「…え？」








今日の服…この、スウェットワンピース？



これ、臣さんが選んでくれたとき

俺が選んだこと、ガンちゃんに内緒にしてて

って 念を押して言われたんだっけ。









A「…はい。……けど、岩田くんってもっと…女の子らしい服が好きなんじゃ…」


剛典「んー、まあね？けど最近はそういうボーイッシュなのが好き。Aちゃんみたいな背低い子が着てたら…可愛いって思うし。」


A「そ…なんですか、」








うわあ、よかったあ。


自分で服決めてたら、絶対もっと可愛らしいのにしちゃってた。


スカートも、もっと短いのにしてた。








．








剛典「この前楽屋に女の子の雑誌置いてあってさ。みんなで見ててね？そん時にこんな服載ってたんだよね。」









……みんなで…









A「……その時、臣さんも…いたんですか？」


剛典「ん？あー、いたいた。俺の後ろから覗いてたよ？俺がこんな服好きっつったらさ、不思議そうな顔してて。笑」









………臣さん、分かってて


岩田くんの好みがこんな服だって分かってて





選んでくれたんだ。









どうしてそんなこと…









剛典「……え？なんで？笑」









…なんだかすごく、変な気持ち…








A「……好かれてるはずなのに…」


剛典「え？」


A「…なんで、好かれてるはずなのに、不安に…」









思わず、そんなことを呟いた。






．

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