魅惑のマーマレード【登坂広臣】

無自覚の怖さ ページ45

広臣side







直人「じゃあそういうことで。いい？」


「「はい！」」









メンバー会議が終わり、各々会議室を出て行く。






このあとリハまで時間あるし…

来週あるレコーディングの確認でもするかな。








そう思って席を立った。








会議室と同じ階に、社員の方の業務フロアがある。







……てことはまあ、Aがいるってことで。








いるかな、ってチラ見してたら









剛典「います？Aちゃん。」


広臣「うわ、…びっくりした…」








俺の後ろから覗き込んでくる。ガンちゃん。


あーあー、ダメだこりゃ。








広臣「……いるよ、あそこ。」


剛典「え？どこっすか？」


広臣「ほらあの、…紺のセーター着て…」


剛典「あー！わかりました！」








あの席かあって呟いてる。



…教えなきゃよかった。








剛典「……まだ好きなんすか？」


広臣「…まあね。」


剛典「ふうん、最近いつ会いました？2人で。」


広臣「え？…昨日。」


剛典「めちゃめちゃタイムリーっすね笑」








まあね、なんて言いながら

ふたりでエレベーターに乗り込んだ。







剛典「もうそれ、Aちゃん臣さんのこと好きなんじゃないっすか？」


広臣「……ガンちゃんに言われるとさすがにヘコむわ。笑」


剛典「え？ほんとに思ってます？」


広臣「あいつガンちゃんにしか目ねえし。」


剛典「けど…昨日のライン、すげーアッサリしてたんすよね。」







あんなの初めてっすわー


って、携帯触ってる。






広臣「……昨日、ラインしたんだ。」


剛典「あー、土曜に会うんすよ。そのことでちょっと。」


広臣「土曜…」









例のデートね。



……大丈夫大丈夫。

応援してなんやきゃ。Aのこと。









剛典「返事、わかりました。だけっすよ？なんか俺嫌われてんすかね？笑」


広臣「あー、いやあいついつもそんなんだから。たぶんそれでも考えた方だよ。」


剛典「え、そうなんすか？…実際話したら可愛いこと言うのに。」


広臣「……緊張してんだって。」









実際話したら可愛いこと言う、か。







あいつガンちゃんの前だとやけに大人しくなるし


顔真っ赤にして見つめたりするし









．









それが全部無自覚なのが、俺としては怖いとこ。




．

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