魅惑のマーマレード【登坂広臣】

匂いにつられて ページ41

Aside









なんだか、いい匂いする…









薄っすらと目を開けた。







目の前には、見慣れた天井。




窓から明るい朝日が差し込んでて

ああ、朝だって思いながら伸びをする。









上体を起こすと、リビングとの仕切りにある

全面すりガラスの引き戸が開かれてて…









広臣「あ、起きた。」









って、臣さんが顔を出した。









A「…そっか、…あれ？わたし昨日どうしたんだっけ…」








聞きながらリビングに出ると、なんと朝ごはんまで準備されてて。



ありがとう！って言うと、いいよって。








広臣「昨日、俺が風呂入ってる間に寝てたから。ベッドまで運んだ。」


A「え、ほんと？ごめんね、ありがとう。」


広臣「……可愛かったな〜。ベッド下ろした時ちょっと起きたんだけどすげー寝ぼけててさ。」







コップにオレンジジュース注ぎながら、


ニヤニヤした顔でそんなこと言ってくる。








広臣「おみさん、一緒に寝てくれないの？って。もー襲っちゃおうかと思った。笑」


A「……ないない、ないね、ないない。」


広臣「ないない言うなよ。笑」








あはは…って笑いながら洗面所に行った。


顔洗って歯磨いて。









A「よし、お待たせしました。」


広臣「ん。いただきます。」


A「いただきます！」








臣さんってなんでも器用にこなせちゃうタイプ。


羨ましいな。





こんな美味しいオムレツ、どうやって作るんだろ。









広臣「あ、そうだ。コレ。」


A「ん？…あ！新しいの、買ってきてくれたの？嬉しい！」







臣さんが紙袋から取り出したの、わたしがお気に入りのマーマレード。




この前一緒に朝ごはん食べた時、少なくなってるの気づいてくれたのかな。








A「これが一番美味しい。スーパーのじゃダメ。」


広臣「ふうん？」


A「苦味が強いの。コレ。」








まだ少し残ってる分を、パンに乗せて食べる。


うんうん。

やっぱりパンにはマーマレードだよね。









広臣「…てかさ、A起こすのめんどくさいからそこのドア開けてたんだけど…ほんとにパンの匂いで起きた？笑」


A「…うん。いい匂いする…って起きた。」


広臣「やばい笑 ほんとデブ笑」


A「…あのさ、自分で言うのもアレだけど、仮にも好きな女の子相手にデブってどうなの？」


広臣「貶し愛ってやつじゃん。笑」




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