魅惑のマーマレード【登坂広臣】

だいすきなのに ページ37

Aside







ミカ「ねえ、どうしたの？なんでそんなぶすくれた顔してんの？」



A「……してないです。」



ミカ「してるよ？…もう、話してみなって。」









ランチしながら、そんなことを言われ。








……嫌なことをされたとか、そういうわけじゃないの。




自分が嫌なことをしてしまって


それがすごく不甲斐ないし

なんてバカで考えなしなんだろうって…








それも、だいすきな臣さん相手に。









A「……臣さんに、嫌な思いさせちゃって…」


ミカ「登坂くん？」


A「…はい。」








昨日のこと、素直に話した。





着信履歴に臣さんの名前があったから、たぶんわたしが寝てるときに電話くれたんだ。



それに、岩田くんが出て…








だいたい予想はつく。






ずっと、心配してくれてたんだよね。



こんなわたしのこと、好きでいてくれてて

だから不安だった？




岩田くんとわたしが何かあったら、って…









ミカ「…Aちゃんが悪いよ。どう考えても。」


A「…わたしも、そう思います…」


ミカ「怒られたの？登坂くんに。」


A「怒られた…わけじゃないですけど。…あんな暗い声、初めて聞いたし…」









いつもなら、わたしが岩田くんのこと話しても


笑いながら聞いてくれてた。




うん、それで？


って 相槌打ちながら。







けど昨日は…








A「……で？…って、言われて…うう…」


ミカ「ちょ、泣かないでよ。笑」


A「あんなに冷たくされたの初めてで…寂しくて…」


ミカ「わかったから！泣くな！」









向かい側に座ってるミカさん。


腕を伸ばして、タオルで涙拭いてくれた。









A「わたし、友達いなくって、…だから、岩田くんのこと話せるの…臣さんしかいなくって…」



ミカ「そ、そうなの？」



A「ミカさんがいなかったら、もう…」



ミカ「なんかかわいそうだねAちゃん…」









わたしは、かわいそうな子だった。




小さい頃から不思議ちゃん扱い受けることが多くて

そのせいで友達もいなくて


ミカさんの存在がなければ、ランチだってひとりだったはず。








だけど、臣さんがいたから



用事がなくても電話くれたり

話しかけてくれる臣さんがいたから





わたしは寂しいなんて感じたことなかった。







．







そんな臣さんを傷つけてしまったことが、


本当に苦しい。




．

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