魅惑のマーマレード【登坂広臣】

王子様からお誘い ページ35

Aside









2人で乗り込んだタクシー。






22時を過ぎていると知った時は本当に驚いたけど…



前にもこんな時間まで残って仕事してたときあったって思い出す。

今日が初めてじゃない。









剛典「Aちゃんってさ、」



A「え？」



剛典「…寝るとき、唇触りながら寝んだね。」









……どうしよう、恥ずかしすぎる。





唇触りながら寝るの、癖なんだ。




赤ちゃんみたいだからやめたいっていつも思ってるのに。









A「……臣さんにも、よく言われます…」



剛典「……臣さんに？」








頷くと、びっくりした顔で見つめられて。









剛典「なんで？お泊まりしたの？」



A「…お泊まり、…します。たまに。」



剛典「付き合ってんの？」









付き合ってないですって言うと、まじで？って。





確かに、付き合ってもない男女がお泊りなんて…って思われるのは当然のこと。







だけど寝る部屋は別だし、ただ、どちらかの家で晩ごはんと朝ごはんを食べるとしか思ってない。わたしは。









剛典「え、そのさ。…男女の…その、」



A「ないですっ」



剛典「……臣さんも男じゃないな…」








小声でそう言ってるけど…

臣さん優しいもん。そんなことしない。









剛典「……ていうかAちゃんって、付き合ってもない男の家とか行っちゃうタイプなんだ？」


A「え…？」









岩田くんを見上げると、サングラスをそっと外して…








．









剛典「これから俺んちおいでって言ったら、来てくれんの？」









．









運転手さんに聞こえないように、


小さく耳元でそう言った。









……また、心臓が。









なんにも言葉が出なくて、唇を噛んでしまう。









剛典「……なんてね、うそうそ。さっき臣さんにキツーく言い聞かせられたから。」



A「…え？」









……さっき？









剛典「頼むから手出さないで、って。あんなマジな臣さん初めて。笑」









詳しくは本人から聞いてね、って笑ってる。



全然理解できないけど…









剛典「……けどさ、…もっと仲良くなったら臣さんも何も言えないよね？」







．









よし、って


あの笑顔でわたしのこと見つめて









．









剛典「Aちゃん、デートしよっか。」









．

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