魅惑のマーマレード【登坂広臣】

勝ち目がない ページ17

Aside









仕事行くわ、って


朝ごはん食べ終わって早々に家を出た臣さん。






そんなバタバタするなら、なんで泊まったの？もう。








昨日の夜の大事な話



遊びじゃないよ、って言われて

これからも好きでいる、って言われて。








嬉しいんだけど 申し訳ない気もある。





なんであんなに人気者の臣さんが私のこと好きなんだろう？わかんないよ。






理由聞いたら バカだから、とか言うし。







けど、遊びじゃないって覚えといてって言われたから


うん。そう思っとこう。









A「よしっ、お買い物行こう！」








最近家でゴロゴロしてること多かったし、

たまには人ごみの中に行くのもいいかも。









思い立ったが吉日






早速準備をして家を出た。









．







とは言っても、特に欲しいものがあるわけでもなく。







お洒落な雑貨屋さんを渡り歩いて


次は洋服を見て…









A「……つまんないな。」









もう16時になっちゃってるし、



あーだめだ、1日無駄にした。








そう思いながら、

テラス付きのカフェでレモンティーを飲んでた。








今日は割と暖かい。



もうちょっと薄着してくればよかったかも。







なんて思いながら外を見てると


待ち合わせによく使われてる広場のベンチ






薄ピンクのファーコートから細い足が伸びてて

大判のサングラスかけてる



いかにもギャルっぽい、綺麗なお姉さんが目に付いた。








うわあ、あのタイツ何デニールなんだろう？

すっけすけじゃん。



あ、違うかストッキングってやつかあ




なんてバカっぽいことを考えて

ひとりでニヤニヤ。









するとそのギャルお姉さんのもとへ


ひとりの男性が近寄ってきた。









…ん？


……あれは…









歩幅を揃えて歩いていくふたり。









その後ろ姿。









A「………岩田くん、」









見間違えなんかじゃない。




ずっと、大好きで、後ろ姿ばかり見てきた人だから。




見間違えるはずないの。









……彼女、だよね。







いるよね、そりゃあ…当たり前かあ。









はあ、ってため息。







あんな



細くて、イマドキっぽくて、綺麗な女の人









それに比べてわたしって


庶民感すごいし、臣さんにはデブーって言われるし








．









勝ち目がない




とは、このこと。

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