運命のつくりかた【佐野玲於】

期待しない ページ11

Aside









それからというもの、完全に玲於くんに振り回される日々。








明日会おう、


そう言われたかと思えば


ごめん仕事入った。






今日は会えそう


そう言われたかと思えば


先輩にメシ誘われた。









A「……はあ、」






そのたびに一喜一憂してるわたしって、

ほんとに単純な女だとつくづく実感。







いいよ。


わたしって、どこにでもいる女だもん。




玲於くんだって 誘いやすいしキャンセルしやすいはず。






年下にまでそんなこと思われちゃってるのか。


……さすがに寂しいけど。









昨日だって、明日こそご飯ってメッセージ来てたけど



ほら。

お昼休みに携帯見たら、リハ入ったごめん。って。









……やめようやめよう。


期待しないの。









松木「Aちゃん、ねえ聞いた？今日飲み会だって。」


A「え、今日？」


松木「幹事の高橋さんが、今から全員にメールするらしい。どうする？」








そっか、大きなプロジェクトがいい結果で終わって

今日が初めての金曜日なんだ。




……どうしよう。



ほんとは行きたくないけど…付き合いって大事だし。

新入社員だし。









A「……行くしかないよね、」


松木「…だよね。」









その後、松木くんの言う通り高橋さんから
同じプロジェクトチームの人みんなにメールが一斉送信されてて






嫌だけど


……どうせ玲於くんにもドタキャンされてるし。




仕方ない。



参加させていただきます、とお返事をして

また仕事に取り掛かった。









飲み会が始まったのは、それから数時間後


19時半





大手企業ということもあり、勤務時間はしっかりしてるから

こういうところは、この会社で良かったなって思う。



土日も完全にお休みを貰えるし。

いわゆるブラック企業でないことは確実。









「乾杯！！」






今回のプロジェクトリーダーだった小野さんが、長い挨拶の後にようやく乾杯の音頭をとり

みんなで生ビールの入ったグラスを鳴らす。







付き合いのためにも、お酒は飲めるようになっておきなさい



そう両親に言われていたおかげでアルコールには強いけど


まったく酔えないっていうのは

良いことでもあり、悪いことでもある。








あと1時間後にはきっと、

酔った上司の相手をしなきゃいけなくなるし。







……はあ、憂鬱だ。

妥協→←からかわないで

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す