となりのイジフン (ページ40)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:90,962 hit

４０ページ40

私は涙が止まらないまま走って、女子トイレに入った。個室に入り、さっきのことを思い出して余計に鼓動が早くなる。

これからどうしたらいいのかも、自分の気持ちもわからない。スニョンは私を好きで、私は……。

考えても考えても答えは出ない。私は涙を拭いて女子トイレを出た。

「……A、」

少し離れたところにスニョンがいた。きっと私を追いかけて来たんだろう。

「ごめん、俺……」

「ううん、私こそごめん……やっぱりこのままじゃダメだよね」

「え？」

「今日放課後、ちゃんと返事するから」

スニョンは小さく頷いて教室に戻ろうと言った。スニョンの後ろを歩いていく。いつもなら隣を歩く私。そんなつもりはないけれど、少しだけ警戒してしまっているのかもしれない。

「ごめんな」

背中から小さく聞こえた言葉。きっと私が思っていることをスニョンは気づいていて、そう言ったんだと思う。その声があまりにも淋しげで、私は聞こえないふりをしてしまった。

スニョンのことは大好きなのに。誰よりもずっと一緒にいて、いつも守ってくれて、本当に大好き。でも私の好きとスニョンの好きは違ったみたいで。

その気持ちに今まで気づけなかった自分。そのせいで今、こんなにスニョンが傷ついてしまっている。きっとキスだって、本当はこんな形でしたかったわけじゃない。

今まで幼馴染みとして過ごしてきたこの友情が壊れようとしている。スニョンとの関係が崩れるのは私にとってなによりも辛いことかもしれない。

私がスニョンを男の子として見れば、スニョンと同じ好きっていう気持ちになれば、私たちは前のままでいられるのかな。

スニョンの背中を見ながら今までのことをたくさん思い出した。きっとスニョンほど私を大切にしてくれる人はいないだろうな。

教室に着くと、スニョンはなにも言わず席についた。私も自分の席につくと、イジフンが私を見ていた。

「……なんかあった？」

「……ううん、なにも」

「また泣いたんだろ、泣き虫」

そう言ったイジフンの優しい声にまた涙が込上げる。もうこれ以上優しくしないで、なんて自分勝手なことを思ってしまった。

「あんま泣くと余計ブスになるぞ」

「うっさいな……バカ」

「お前には言われたくねー」

イジフンはいつも通り私を見て笑っていた。この気持ちは隠しておこう。