恋人未満。《s.m》 (ページ32)

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森本side

我ながら結構頑張ったと思う。

何ヶ月も合えばヒステリックを起こす彼女と別れるために
強制執行として家の鍵を変えた。

家にある荷物は全て向こうの家に送ったし
これで完璧に終わった。

まぁ、これは一時しのぎなんだけどさ。

付きまとわれたら困るから近いうちに引っ越すつもり。

久しぶりにAとドライブだから
そりゃもう随分とご機嫌に仕事を終わらせた。

モリこれから迎えに行くー!
Aはーい!気をつけて!

なんて返事が返ってきて緩む頬。

シェリーに餌を与えて家を出る。

夜の海ってわくわくするよなーーー！
波の音って聞いてるだけで落ち着くのよ。
そもそも俺海大好きだし。

貴「お迎えありがとう！」

森「いえいえ。」

俺と会うために可愛く着飾ってるって考えたら
めっちゃ可愛くない？？

多分俺の服の雰囲気に合わせるために
少しあっさりとした服を着てショートパンツのA。

それにキャップ被って週刊誌対策してくれている。

ありがたいなって思う反面
堂々とデート出来る職業じゃないのがもどかしい。

夜の海について何となく2人で砂浜を歩く。

森「今日も可愛いじゃん。」

なんて言えば照れる彼女。

それがまた余計に可愛いのな。

貴「それを言ったら慎太郎こそ…」

かっこいいよ、とボソッと話す。

森「んはっ、もっと大きい声で言ってよ笑」

貴「だって、恥ずかし…！」

まぁ、そうだよな。

俺たちの中に甘ったるい空気が流れる事なんて
今まで無かったんだもん。

それはきっとAのこと男友達みたいに
扱ってたからなのかもしれない。

……本当はAの感情に気がついていたのに
俺が気付かないふりしていたから。

だから甘えていたんだと思う。

Aは絶対俺から離れないと。

でも前の彼女と付き合った時
俺の居場所にジェシーが居てすごく焦った。

その時に初めてAは
俺から離れて他の奴のものになるかもしれないと
危機感を持った。

そんなの嫌だ。

Aは俺の。

こんな感情抱くのなんてひとつしかないっしょ？

森「A」

貴「ん？」

森「……好きです。
俺と、付き合ってくれませんか」

あぁ、Aと居て
こんなにバクバクと心臓が煩くなるのなんて
初めてだ。