恋人未満。《s.m》 (ページ17)

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森本side

日中のジェシーの朝帰り騒動、
そんなに俺としては気にしてなかった。
そんな日もあるだろうと。

Aと食事するまでは。

気のせい、

そう思いたかった。

Aがトイレへと立ち上がり横切った時

フワッと微かによく嗅ぎなれた匂いが鼻腔をついた。
昼間嗅いだばかりの匂い。

そんな、まさか。Aに限って。

ぐるぐると頭の中に
Aとジェシーが浮かぶ。

もしかしてジェシーはAのところに泊まって
朝帰りしたのか？

2人は付き合っているのか？

そんなよくもわからない感情が沸きあがる。

森「っ……おかえりー」

考え込んでるうちにAが戻ってきて
また、あの匂いが香る。

森「あの、さ」

気づいたらジェシーのことAへ問いかけていた。

一瞬目を見開いたあと、わかりやすく狼狽える彼女。

上手く誤魔化せたと思ったんだろうけど
嘘つく時にAは耳たぶを触る。

その癖が出てきた瞬間に全てを悟った。

ジェシーが一夜明かした相手はAなのだと。

俺が遊びに行った時は頑として
泊まるな、帰れって言い張ってたのに
ジェシーには泊まらせるんだ。

そう解釈した途端
頭ん中がスーッと冷める感覚。

これ以上Aと居れる気がしなくて

上手いこと理由つけて切り上げて帰路に着く。

俺がAの男友達の中で1番だと思ってた。

でも、気づいたら俺の居場所、
ジェシーに変わってたんだな。

……なんか、すげぇ嫌だ。

なんでこんなにモヤモヤすんだろ。

わっかんねぇ。自分のこと。