恋人未満。《s.m》 (ページ16)

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貴「ちょっと御手洗行ってくるね」

何だかちょっと気持ちを落ち着けたくて
その場から抜け出す。

貴「ひっどい顔」

用を足して手を洗いながら鏡を見上げれば
底には暗い表情の自分が映っていた。

このままじゃいけないと
パチンと顔を軽く叩き気合を入れる。

貴「元気だせ私。」

そう言って席へ戻れば、

森「おかえりー」

と慎太郎が迎えてくれた。

森「あのさぁ、気のせいだったらゴメンなんだけど」

貴「ん？」

席に着いた所で先程よりも少しテンションが落ちた
慎太郎が口を開く。

森「香水変えた？
さっきトイレ行く時、
Aからジェシーの香水と
同じ匂いがした気がすんだけど……」

貴「えっ！？」

うそ、匂いうつった！？

全然気にしてなかった……！

貴「い、や特に変えてないけどな……
もしかしたら電車で匂い貰ってきたのかも！
ほら、電車で来たし！」

なんでこんなに取り繕ってるんだろ私。

意味ないのに。

森「ふーん。
ジェシー昨日と同じ服だったから
女といたのかなって思ったんだけど
友達と居ただけって言うし
Aなんか知らない？」

貴「えー、知らないかなぁ
ジェシー交友関係広いし。」

森「いや本当に！
人脈おばけだよな！！！」

言えないよな……

ジェシーに介抱されるまで飲んで酔いつぶれた挙句
泊まらせてしまったなんて……。

無理！！

そもそも1人で飲み歩いてた時点で
慎太郎絶対怒るからここは黙っておこう。

森「っと、そろそろ帰っかなー。」

貴「珍しく早いね？」

森「○○がもうそろ帰ってくんのよ」

貴「そ、か。それは早く帰んなよ。」

森「Aも気をつけて帰れよ」

そう言い残して慎太郎は帰っていた。

大好きな彼女が待っている家に。