58.ー宿す目ー ページ28
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「んん、…っん、」
角度を変えて何度も、触れては離れて、また触れて
髪に差し込んでいた手は、あたしのうなじ、肩、背中、…腰までを辿っていく。
擽ったくて、リップ音だけが目を閉じたままのあたしの耳に嫌というほど響いた。
時折聞こえる、はぁ、という大野くんの息遣いも
数ミリの距離で感じる。
智「ん、…逃げねぇの…」
「っは…はぁ………、」
逃げないんじゃない
逃げたくなかった。
これが、例えそういう意味を持った行為でなくとも
初恋の人との思い出作りになるのなら________
大野くんの言葉を、自分の都合の良いように言い訳にした。
返事の代わりに、繋がれていた手を、ぎゅっと握り返す。
智「……、」
優しかった目が、スッと何かを宿したような目に変わったら
寝かされた不愉快なくらいふかふかのベッドに背中を預けて、あたしの視界には大野くんとその後ろの天井しか見えなくなる。
智「思い出、忘れないで」
「っ、…！」
首筋をなぞる唇の感触
上着のボタンを器用に外して肩から脱がされると
そのままセーターの中に手が滑り込んできて、どうしようもなく身体が強張った。
触れる手
重なった体温
逃しきれない感覚と、痛み
苦しそうな、時に揺れる大野くんの瞳
ギシギシと音を立てるスプリングの音
一度だけ溢れた涙を、大野くんの指が拭ってくれたけれど
ドラマや映画みたいな
愛のある言葉なんて一言も交わさないまま繋がった身体は
ただ、感じたことのない気怠さだけを残した。
友達のうちに泊まってきたという、翌朝の両親への嘘は
大野くんとあたしが
本当にただ身体を重ねただけの関係になった証だった。
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知日(ともび)(プロフ) - みなちゅんさん» うれしいです！ありがとうございます！！楽しみにしていてください♪ (2017年8月14日 13時) (
レス) id: 2df8e76a2f (このIDを非表示/違反報告)
みなちゅん(プロフ) - こんばんわ、新作もまた読みにきてしまいました^ ^ また更新楽しみにしております！！ (2017年8月14日 0時) (レス) id: cc7a2757c6 (このIDを非表示/違反報告)
知日(ともび)(プロフ) - *-eni-*さん» eniさんさっそくありがとうございます！！！ウイスキーを飲んだ後の智でございます、うふふふ(*´ω｀*) (2017年8月8日 23時) (レス) id: 2df8e76a2f (このIDを非表示/違反報告)
*-eni-*(プロフ) - |qд･.)おじゃましまぁーす(笑) おトイレから出たらさとぴがいたー！お迎えは来れないみたいだし……どーなるのかなぁ！？(*´艸｀*) (2017年8月8日 23時) (レス) id: aaada8bfdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：知日(ともび)
| 作成日時：2017年8月8日 10時
