幾度のキスより《N.K》4

98.手と手＊Satoshi＊ ページ8

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繋いだ手は、




ちっこくて



柔らかくて細くて




指と指を絡ませて強く握れたらどれだけ幸せだろう




でも、そんだけじゃ足りねーかも。




ギュッてしたくなるよね絶対。




だから、こうやってただ掌同士を重ねるだけで充分だよ。




お化け屋敷を出た後も繋いだままの手をこっそり見つめて



こっそり俺を見て。




最後だから。




もうこんなことしねぇし、できねぇからさ、



今だけ、こうしていさせて…




「先輩……あの……」



智「…なんか食う？もうすぐ昼だよ。」





ぎゅっと




さっきよりも少しだけ力を込めて握り直す。





すれ違う人の視線なんか、気にもなんないくらい


ずっとこのままでいたいと思った。




「大野先輩、焼きそば」



智「俺、焼きそばじゃねーし(笑)」



「お腹空いたんですー(笑)」



智「わぁってるよ(笑)」




もう、って。



俺の気持ちを察したみたいにそう言って笑うその姿が愛おしくて仕方ない。




「良いですよ自分で買います」



智「誘ったの俺なんだから甘えてりゃいんだよ」



「ありがとございます…」



智「ん。……え〜〜ソースふたつ。あ、ソースでよかった？」




コクン、と頷く。




手は、離さなかった。




左のポッケに雑にお金入れといて良かったな、なんて




全部左手で、金払って焼きそば受け取って、屋上行こっか、って校舎に戻ると。




「っ…」



和「あらら、お揃いで。」




Aちゃんの手に、力が入ったのがわかった。

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