完璧 Lady～３つの過ち～ (ページ2)

今日:3 hit、昨日:16 hit、合計:342,305 hit

2.理想の先輩ページ2

・

待遇という待遇もなく、

自分の実力で入ったこの会社の仕事はほんとに楽しくて。

「大野さん、これって……」

智「んー？あぁ、これは、この会社に送るやつだからさ」

この希望していたデザイン課に配属になって

指導担当である大野さんには

毎日毎日、色んなことをイチから全部教えてもらってる。

もう2ヶ月になるけど、やっぱり社会っていうのは難しいもので

御令嬢だと一目置かれてきた今までとは違う、大人の世界を見せつけられた。

ものすごく温厚で、優しくて

いっつもふにゃぁって笑ってて

怒ったとこなんか見たことないけど

指導者として、言うべきことはちゃんと言ってくれる

まさに理想の先輩。

スーツはいつも前のボタンを留めずに開けていて

ネクタイも、ちょっと曲がってる。

「大野さん、またネクタイずれてますよ(笑)」

外回りなのに、さすがにダメでしょって

こんなことを言うのも、もう何回目かわからない。

智「うぇ、Aちゃん直して」

そして最初からずっとこの呼び方。

河内ってあたしの苗字を、最初こそ呼んでくれたものの、大野さんが言うと

"かわうち"が、"かわぁち"にしか聞こえなくて

もうめんどい！って、Aちゃんって呼ばれてる。

そんなところも、大野さんらしいんだけど。