素直になれなくて《O.S》１ (ページ29)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:115,986 hit

29.特別ページ29

「あ、あの、この資料、大野先輩に渡すものなのに間違えて持って帰っちゃったみたいで…」

智「あー、さっきのね。あんがと。」

なんとなく、どうすれば良いのかわからなくなってキョロキョロ…

智「Aちゃん久々だねぇ」

「ふふ、なんかおじいちゃんみたい…(笑)」

智「よく言われる(笑)」

「よく言われるんですか！！」

なんなんだろ、この心地良い空気…

ほんと不思議。

GW何もすることなくて暇だった～！って2人でひとしきり盛り上がって。

「大野先輩の美術展、楽しみだなぁ…」

また遠くに見えた夕陽を眺めながらそう言うと

智「ん……。」

と少し寂しそうな目をした。

どうしてそんな目するの…？

あたしの中の大野さんはいつもふにゃんって笑ってるのに…。

智「打ち合わせの後さ、ヒマならココおいで、描いてる絵とか見せたげる。」

「え？良いんですか？」

智「Aちゃんだけ特別にね。」

"特別"……櫻井先輩と美術室を見に来て、

初めて大野先輩の絵を見せてもらった時にも言ってくれた言葉に、

今は少しの照れくささと、嬉しさで

胸がいっぱいになった。