素直になれなくて《O.S》１ (ページ14)

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14.夕焼け＊Satoshi side＊ページ14

コンコンというノックの音がしてすぐ、

カラカラと音を立てて開いた扉の向こうには、翔くんと、小柄な女の子が立ってた。

翔「この子、今年の連携してくれるAちゃん。」

翔くんからの紹介に、ペコッと軽く頭を下げたAちゃんの、

低いとこで１つにまとめた髪が右肩からサラッと落ちる。

智「そか、よろしくね、Aちゃん。」

そう言って笑うと、切ない目で俺を見る。

なんで、そんな目すんの…？

翔「あぁ、あの人、大野智。3年2組。」

「松本Aです、よろしくお願いします…」

智「Aちゃん入っといでよ。」

なんかわかんねぇけど、自然と入っといでなんて言っちゃった。

翔「智くん良いの？描いてる時は」

智「いーのいーの、特別ね(笑)」

描いてる時は邪魔されたくないよ、ほんとはね。

でもなんか、邪魔するような子に見えなかったから…かな。

「うわぁ……すごい……」

智「夕焼けのやつか」

「あたしこういうの大好き……」

"大好き"

その言葉に少し古い傷がギシッと音を立てた気がしたけど

俺は見てみないフリをした。